為替相場をめぐるチャージバックのトラブルについて

為替相場をめぐるトラブル

日本人海外旅行者は、その大半が旅行先国のホテル代金や買い物代金(外貨建て)をクレジットカードで支払っています。カード利用代金は、最終的には帰国後、円で決済されることになります。その間に発生するトラブルの主な原因をいくつかピックアップしてみました。

換算相場をめぐるトラブル

為替相場が急激に円安に振れると、会員の円建て支払額が増え、苦情の種となります。為替リスクを会員に転嫁している結果発生するのが問題です。この種の苦情に対処するためには、カード会社の担当者は、国際ブランドカード(VISA、MasterCard)の多通貨換算制度をよく理解し、会員に適切に説明できるようにしておかなければなりません。

特に重要な点は、セントラルサイト(国際ブランドカード〔VISA、MasterCard〕のデータ中央処理センター)に送り込まれたバラバラの現地通貨建て売上伝票が「いつ、どのような相場」でドルに換算されるのか、また、どのよう
な「手数料」が加算されるか、の2点です。

セントラルサイトにおける為替の換算レートと手数料

VISA マスターカード アメックス JCB ダイナース
処理日 原則として*売上伝票持込日 同左 同左 同左 同左
換算レート 処理日前日のバークレーズ銀行のレート 処理日前日のモントリオール銀行のレート 取引発生地により、処理日(または前日)のニューヨークまたはロンドン市場のレート 処理日(または前日)の東京市場(旧三和銀行・現三菱東京UFJ銀行)のレート 処理日(または前日)の東京市場(旧三和銀行・現三菱東京UFJ銀行)のレート処理日(または前日)の東京市場(旧富士銀行・現みずほ銀行)のレート
為替手数料 ブランド会社の収入 1% 1% 1% 1円 1円
メンバーカード会社の収入 0.6~0.63% なし なし なし
※売上伝票持込期間

  • 加盟店―原則として取引日から30日間以内。
  • アクワイアラー原則として加盟店からの受領日から1~2日間以内。

資料:日経トレンディ1991年12月号。

換算相場は、特定の金融機関が毎日の市場の需給に応じて、自行の外貨保有ポジションを睨んで自主的に定める相場です。

国際航空会社などの社内レートに絡むトラブル

世界規模で営業する企業、特に国際航空会社は、各国の営業店で航空券を販売していますが、現地通貨建ての売上伝票は、ニューヨークやロンドンの自社の事務処理センターに送り込まれ、そこで一定の社内レートでドルに換算され、その結果が現地のアクワイアラーに送りこまれる(デポジット)こととなっています。

この社内レートが国際ブランドカード(VISA、MasterCard)のレートと大きく異なっていると、カード会員の疑間の種となってくるのです。

事務処理上のミスによるトラブル

IMFの資料によると、現在、自国通貨を「ドル」で表示している国は、アメリカ、メキシコ、カナダ、台湾、香港、シンガポールなど19カ国に上っています。そのため、たとえば、ニューヨークに本店がある企業のメキシコ支店が、売上伝票(代金はMSではなく、単に$と表示)を本店に集めるようなケースでは、両通貨が混同される可能性が高い。このようなミスに気がついた場合は早急にチャージバックすべきです。

売上伝票は、一定期間内にアクワイアラー提出(デポジット)されなければなりません。このデポジットの遅延によるトラブルもあります。デポジット期間は、原則として取引日から30日以内です。しかし、遠隔地(たとえば、バングラデシュ、そのアクフイアラーは通常香港にあることが多い)の場合や、加盟店が相場変動を見越して、データの送り込みを故意に遅らせた場合など、このデポジット期間内に相場が大きく動くことはありえます。このような場合はチャージバックは非常に難しくなります。

なお、1998年4月時点で、日本では新外為法が施行されました。カード業界に与えるそのインパクトについてはまた別の段階でご紹介します。

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