ブランド会社の日本国内チャージバックルール(民間ルール)

国内ルール(日本)

前回は、チャージバックの国際ルールをご紹介しました。今回は、国内ルールに目を向けてみましょう。

国内ルールは、国際ルールと比べると、生まれも育ちも異なるので、日本独自の色彩が強く、国際的に見ると孤立した面が見られます。ただし、この「おきて」も、それはそれなりに差し障りなく動いてきており、ここで、そ
の是非を問うことはしません。ただ、ボーダレス化が急速に進んでいる今日、このローカルルールがいつまで持ちこたえられうるかを危ぶむ声が少なくはありません。

国内ルールの誕生

国内ルールのルーツ探しは意外に難しいもので、日本では1960年代前半にカード会社が誕生し、70年代に入ってカードの国際化が進み、80年代初めに国際ブランドカードの名のもとで、整然としたカード会社の系列化(BC〔ブラザーカンパニー〕やFC〔フランチャイジーカンパニー〕の囲い込み)が実現、後半においてノンバンクヘのVISAブランドの付与(スペシャル・ライセンシーや日本信販・郵貯ジョイントカード)並びにDCをはじめとするVISAカードデュアル発行権の付与が世間の脚光を浴びました。

この間、日本国内のカード取引は、89年頃までは銀行系大手カード会社数社を中心とするON-USの世界であり、その後、イシュアーとアクワイアラーとの間でカード取引データをやりとりする、いわゆるNON-ON-USの「インターチェンジ」の時代が始まりました。

チャージバックをインターチェンジの観点から捉えてみると、JCCA(日本クレジットカード協会)内部等でチャージバックのルール化が論議されだしたのは、89~90年頃からとみるのが妥当ではないでしょうか。もちろん、それ以前にも大手カード会社によるBC/FC〔プラザーカンパニー/フランチャイジーカンパニーの育成。指導において、チャージバックの概念が云々されたと推察されますが。

私が持っている「チャージバック国内ルール」と題する古めかしいペーパーが1つあります。日付は1991年です。これがはたして国内ルールの第一歩であるか否かは不明であるが、いずれにせよ、この時代の1つの産物とみて大過ないものと考えられます。

国内ルールの主要点

国内ルールは、成立した環境に影響されて、次のように、いくつかの特色を備えています。

アクワイアラーの立場が強い

アクワイアラーがトラブル解決には主導権を持っています。その現れが次の項目の「事前協議制度」です。ただし、最近はイシュアーの立場が次第に強くなってきているので、この特色はやや影が薄くなってきているようですね。

事前協議制度

イシュアーがチャージバックを行う前に、アクワイアラーに対しその内容を示し、実行の可否につき伺いを立てる制度です。アクワイアラーがこの段階でイシュアーの主張を認めると、チャージバックなしで一件落着となります。

事前協議は、異議の理由を問わず、資金移動を伴わず、日頭または書面で行われます。紛争をネゴベースで解決することを狙ったもので、極めて弾力性に富んでいます。ただし、当事者の力関係で解決の着地が異なる場合があるのでは?との声が囁かれているのも確かです。

イシュアーの責任を重視する

トラブルを回実に債務返済を会員が遅らせると、会員を管理するイシュアーの責任をまず問うという考え方がちらほら見えます。

ネゴベースで解決に努める

カード債権の保全を目的として、両当事者が協力してトラブルを解決しようとする、極めて日本的なやり方ですね。

手続は弾力的である

手続は一応定められていますが、両者が合意すれば、弾力的な運びが認められています。

着地点の相連

国内ルールの下では、トラブル解決の着地が国際ルールによる場合と異なることがあります。トラブル発生地(海外か国内か)如何で適用されるルールが異なるため、トラブルの内容は同一でも、手続の相違により解決の行き着く先が異なる場合があります。たとえばATMキャッシング、売上伝票上のサイン不一致の場合などが挙げられます。

チャージバックリーズン

制度上のリーズンは、次のとおりですが、事前協議が認められているので、リーズンの種類はきわめて弾力的と考えたほうがよいでしょう。

  • 無効通知チェック漏れ
  • 信用照会請求不承認
  • フロアリミット超過(加盟店は取引が一定金額を超えると信用照会を義務付けられている。これを無視して取引を行うこと)
  • サイン不一致
  • サインなし
  • 売上伝票デポジット期限切れ
  • カード失効
  • 売上伝票金額変更
  • 売上伝票分割(フロアリミットを回避するため、1件の取引額を数件の取引に分割する行為)
  • 架空取引
  • カード回収後の売上伝票作成
  • 処理エラー
  • 宿泊予約取り消し
  • 検索請求無回答

チャージパック手続

第1回目のチャージバック

次の場合は初回チャージバックを行います。

  • 事前協議を行ったが、アクワイアラーから30日以内に回答がない
  • アクワイアラーが事前協議内容に同意したが、30日以内に返金を行わない
  • アクワイアラーが事前協議内容を否認したが、納得できる反証を示さない

第2回目のプレゼントメント

アクワイアラーは、初回チャージバックを受けた日から15日以内に必要な取引データをイシュアーヘ提示します。または直ちに国際ルールと同様、裁定手続(アービトレーション)に入ることもあります。

第2回目のチャージバック

イシュアーは、第2回目のプレゼントメントを受けた日から15日以内に、第2回目のチャージバックを行うか、またはアービトレーションに入ります。

アービトレーション手続

アクワイアラーは、第2回目のチャージバックを受けた日から15日以内にアービトレーションの手続に入ることができます。アービトレーションの申立ては、VISAまたはMasterCardそれぞれの国内決済機関(VISA、日本リテール支払決済機構、マスターカード、日本マスターカード決済機構)に対して行われます。

これらの機構は、案件の処理を中立的な第二者(通常はVISAまたはMasterCard)に委ねるが、解決はあくまで両当事者の話し合いによるとされています。

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