チャージバックと国際ブランドルール、実務対応について。

チャージバックと国際ブランドルール

国際ブランドでは、カードホルダーからのクレームに対しては、カードホルダーとイシュアとの契約(カード会員規約等)に基づきイシュアが自社の責任において対処する必要があります。

イシュアが当該クレームに対応し返金等を行った場合、当該クレームが国際ブランドが規定する事由(アクワイアラ責任)に該当する場合、該当する売上電文をアクワイアラに返し、清算された資金を回収することが許されれます。この手続きが“チャージバック”と言います。

VISAとマスターカードのチャージバック制度

カード取引は、①場所を基準とすると、国内取引と海外取引に、②イシュアーとアクワイアラーとを基準とするとon-us(イシュアーとアクワイアラーとが同一の場合)とnon-on-us(両者が別の企業体である場合)とに分けられます。

VISA、マスターカードの場合、on-us取引は原則として国内取引に限られます。一方、non-on-us取引は、国内取引(たとえば、UCカードが日本信販の加盟店で使用される)あるいは海外取引(たとえば、セゾンカードが米国でシティバンクの加盟店において使用される)の別を問わず、イシュアーとアクワイアラーとの利害関係は真っ向から対立しているので、その間の紛争解決には厳格かつ中立的なルールが必要となります。

以上のような点を考慮に入れて、まずVISAとマスターカードに焦点を当て、国際ルールとしてのチャージバック制度について考えてみようと思います。

チャージバック国際ルールの原則

当事者平等並びにその権利義務尊重の原則

イシュアーとアクワイアラー、カード会員と加盟店などすべての当事者は平等の立場にあり、チャージバックにかかわる権利と義務をもちます。

手続尊重の原則

チャージバックには、期間制限、検索請求の要否、証拠提供、様式遵守など細かい手続が定められており、これに違反した当事者は、交渉の敗者として門前払いされることが多いようです。案件処理を優先するので、言葉のハンディや事務不慣れなど、言い訳は全く認めない杓子定規的なところがあります。

処理期間(プロセシングサイクル)厳守の原則

チャージバックの資料のやりとりには、厳しい期間枠が設けられています。この枠を無駄遣いすると、有無を言わせず敗者扱いになってしまいます。

チャージバック件数抑制の原則

次のは、全カード取引のうち、イシュアーがチャージバックする件数、これに対するアクフイアラーの反論件数、さらにこれに対するイシュアーの第2回目のチャージバック件数などの平均的な比率を示したものです。

プロセス別チャージバック件数の推移

プロセス別チャージバック件数の推移

VISA、MasterCardは、メンバー間の争いの発生を抑えるため、この図における0の件数をいかにして削減するかについていつも四苦八苦しています。その方策は、次のとおりです。

  1. 事務処理エラーの防止と検索請求回答の迅速化
  2. 一定金額未満のチャージバックを禁止
  3. チャージバック条件の厳格化
  4. 形式的に不備なチャージバックは、専用回線を通過させない(自動的に却下)

チャージバック手続の流れ

次の図は、チャージバックの流れを示したものです。

国際カード取引とチャージバックの流れ

以下、チャージバックの主要点を簡単にまとめておきます。

検索請求

会員またはイシュアーが問題取引のデータを調べるため、アクワイアラーに対し、写しなどを請求をすること。アクワイアラーは往々にして、この請求を無視しがちです(これは、さらにチャージバックの理由となります)。請求理由には次の5つがあります。

  • 会員が取引金額に不同意
  • 会員が取引そのものを否定
  • 不正取引の調査
  • 会員が個人的記録としてデータを要求
  • 一般的なデータ補完

検索請求は、一定の場合には、チャージバックを行ううえでの必要条件とされています。請求を受けたアクワイアラーは、一定の期間内に回答を行うことが義務付けられています。

チャージバックリーズン

こちらの「チャージバックリーズン(コード)とは、取引無効化の「理由」!」を御覧ください。

チャージバックを行い得る期間

チャージバック関連の一切のやりとりは、セントラルサイト(cs=Central Site)すなわち、VISAやMasterCardのデータ中央処理センターの処理日を起算日として、一定期間(たとえば45日、120日等)内に行うことと定められています。一定の期間は、前述したリーズンごとに明示されています。この期間を1日でも過ぎるとチャージバックの権利は失われてしまいます。

証拠書類の提示

チャージバックは、証拠に基づく書面審査を建前としています。日頭による申立ては何の役にも立たちません。証拠となる書類は、各リーズンごとに詳しく定められています。カード会員の中には証拠至上主義に無関心な人が多く、不注意から証拠の保全がうまくいかず、チャージバックの争いでみすみす負けてしまう例が多く見られます。会員教育のいっそうの充実に期待しています。

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