クレジットカードを使ったその他の不正行為と闇ルートの存在

クレジットカードを使った不正行為

クレジットカードの名義人以外の第三者が勝手にクレジットカードを利用することを「不正利用」といいます。近年、カードそのものが第三者の手に渡ることで、悪用されてしまうケースが非常に多くなってきており、不正使用されたクレジットカードによって購入された商品は闇ルートを通り海外に出回っています。

全てのクレジットカードには「盗難保険」が付帯されています。そのため、不正利用されて心当たりのない請求が来ても、ショッピング枠の被害なら原則として保険でカバーできるので安心です。ただし、キャッシング枠の被害は補償適用外となるため、注意が必要です!

盗品の闇処分ルート

クレジットカードの不正使用により詐取された換金性の高い商品は、主として金券ショップ等に売られていることは周知のとおりです。

警察庁筋によると、このほかの盗品処分ルートは97年頃から大型化、組織化、多国籍化が進み、闇市で処分される盗品も、商品券、ビール券、旅行券、衣料品、貴金属、電化製品、カメラ、高級化粧品、さらにはバイク、高級自動、さらにはダンプカーなどとと多彩です。

この組織には、情報屋、下見役、運搬役、ばった屋(現金間屋)、売りさばき役等の役割分担があり、国内はもちろんのこと、国際宅配便やペーパーカンパニーの貿易会社を通じて、東南アジア各国、ロシア、中近東、欧州等に輸出されていることが理由です。

過去数年間において摘発された処分ルートを次の表でまとめてみました。

クレジットカード不正使用による盗品の処分ルート

摘発日時 場所 盗品 警察当局 犯人など
1995/10/18
朝日新聞
東京、大阪、千葉等のアジト 商品券、TC、貴金属、カメラ等約1億円 千葉県警、警視庁 日本人3名、外にカードプローカー介在
1997/4/7
読売新聞
東京、宮城、福島、埼玉、神奈川、静岡、熊本等 貴金属、化粧品等3億8千万円 警視庁 蛇頭密航者12名
1998/5/7
読売新聞
首都圏の安売りディスカウントショップ等 化粧品、カメラ、電気製品、乗用車など多数 警視庁 中国人と日本の暴力団5名
1999/6/27
日経新聞
埼玉、一部は国際宅配便で上海へ 衣料品、電気製品、化粧品7億円 埼玉県警 上海の犯罪組織「流氓(リュウマン)」12名、日本の電気製品問屋も介在
2000/1/12
日経新聞
都内繁華街20カ所 警視庁、これらの地区を「重点地区」に指定。中国人犯罪グループのタマリ場。あらゆる盗品の故買、地下銀行、窃盗組織の密会所や活動拠点があり、取締りを強化。
2002/1~2002/3
日経・読売
新潟東港
大阪港
自動車 警視庁
愛知県警
大阪府警
暴力団組員
ロシア人
サハリンマフィア
いずれも国際的な窃盗団が組織的に関与

マネーロンダリング

マネーロングリングとは「資金洗浄」を意味します。薬物不正取引などの犯罪行為により入手した資金の不正な出所を、いくつかの金融機関の勘定を通すなどして隠蔽し、合法的な収入を仮装する行為です(平成3年警察白書)。

アメリカ当局は、世界中の犯罪絡みの資金は、98年中で5000億ドル(約60兆円)に達するとみていました。最近では5900億ドルから1兆5000億ドルと推定されています(読売新聞99・9・1付および2001・7・12付)。

このうち、洗浄される闇資金は年間900億ドルといわれています(Foreign Policy 2001・5号)。日本では、アングラマネーの規模は約1兆円と推定されています(読売新聞99・9・1付)

広域暴力団とマネーロンダリングの典型

警視庁は、佐川急便を中心とする40社から、広域暴力団稲川会に約3500億円の資金が流れ、その一部が銀行を通じ、株式、ゴルフ場購入資金等に当てられた、いわゆる東京佐川急便事件をマネーロンダリングの典型とみています。

アメリカホワイトハウスも、2000年12月15日、稲川会が資金洗浄のためアメリカの不動産を買い漁っていると警告していました。

このようなケースヘの対策として、欧米諸国は、90年代初めから金融情報機関(FIU=financial infOrmatiOn unit)を設置し、銀行等に対して疑いのある取引を当局に届け出ることを義務付けました。

現在、欧米・豪州等48カ国がFIUを通じて相互に連絡し合っている。89年、G7(アルシュ・サミット)並びにOECDは金融活動作業部会(FATF)を設置し、FIUと協力して犯罪資金の追跡調査を行うことを決定しました。

現在は31カ国と国際機関が協力、中国政府も参加を打診中と伝えられる。FATFは2001年6月現在、次の10カ国・地域をマネーロングリング対策に非協力的であると認定しています(読売新聞2001・10・8)。

クック諸島、イスラエル、ドミニカ、レバノン、エジプト、グレナダ、
ハンガリー、インドネシア、ミャンマー、ナイジェリア

これを受けて、ロシアは2001年7月のG7(ジェノヴァ・サミット)までに対策を講ずる動きを示しています(読売新聞2001・7・6付)。

その後、パリで開催されたFATFは、同国の改善努力を評価し、2003年初めに、ロシアをオブザーバーとして参加させる方針を打ち出しました(外務省経済局総務参事官室より聴取)。

2001年9月11日のアメリカにおける同時・多発テロでは、国際的なテロ組織が金利規制の比較的甘いルクセンブルグの銀行などで、複雑な金融取引を行っていたことが判明したと伝えられています。10月ワシントンで開催されたG7は、テロ資金対策を主要議題とし、G7が一致協力してテロ対策に当たる姿勢を強く打ち出しました。

2001年11月、オタフで開催されたIMF国際通貨金融委員会は、テロ資金の根絶に向けて、加盟国がテロ資金の監視体制を強化し、マネーロンダリング対策の拡充を図ることを謳った共同声明を発表しました。具体的な行動計画は次の3点です。

  • 加盟国のテロ資金対策体制をチェックする。。
  • テロ資金の発見や監視技術を研修する。。
  • オフショア市場でのテロ資金の監視を強化する。。

マネーロンダリングに対する各国の対応

日本ではこれまで、92年施行の麻薬特例法により、薬物犯罪絡みの資金に限り、金融機関に届出義務を課してきましたが、98年9月、パリで開催されたFATFは、1998年中に行った対日検査の結果をまとめ、「現在、日本では多額の犯罪収益金が洗浄されており、また海外からも多額の資金が洗浄のため流入してくると推定される。しかし、効果的な対策はとられていない」旨の警告書を発表しました。

これを受けて、2000年2月、政府は組織犯罪処罰法を施行しました。金融監督庁は同年2月に「特定金融情報室」を、また警察庁は同年4月に「刑事指導室」をそれぞれ設置、金融機関に対し、次に述べるガイドラインに従って、疑わしい取引を届け出ることを義務付けました。

さらに、2001年10月、政府は前述したワシントンG7のテロ対策強化共同声明を受けて、テロ資金情報対策作業部会を設置し、財務省、経済産業省、外務省、法務省、金融庁、警察庁、内閣官房および日銀(オブザーバー)が参加しました。

マネーロンダリングの疑いのある事例のガイドライン

  1. 全業務共通事項
    • 明白な経済目的を持たない複雑かつ多額な資金取引。
    • 顧客の職業、挙動、風体からみて犯罪がらみと疑われる取引。
  2. 現金取引
    • 多額ではないが、短期間で頻繁に繰り返される出入金取引。
    • 大量の小額通貨で行われる出入金取引。
  3. 口座利用取引
    • 架空名義または借名の口座を利用する取引。
    • 開設後短期間で解約された回座を通した多額かつ頻繁な出入金取引。
    • 休眠口座で突然行われた多額な取引。
  4. 他国との取引
    • FATF26カ国以外の国や地域の人との取引。
    • 頻繁に多額の旅行小切手または送金小切手を求める取引。
  5. 融資関連取引
    • 延滞債権を突然予定外に返金する取引。
    • 第二者の資産を担保とする融資取引。
  6. 投資関連取引
    • 多額の証券を売買する取引。
  7. 代理人関連の取引
    • 代理人によつて行われ、受益者が明白でない取引。

地下銀行の存在

地下銀行とは、銀行法上の正規の免許を受けることなく、在日外国人からの依頼を受けて、本国への海外送金(銀行業務)を営むものを言います(平成11
年警察白書)。

1997年以降、次の表が示すように、日本では地下銀行がしばしば摘発されています。

摘発された主な地下銀行

摘発日 当局 送金先 送金経路 受取期間 手数料
1997年6月
朝日新聞
神奈川県警 中国福建省 外銀横浜支店から同行香港支店 福建省の一味 0.5%
地下銀行は金額等をFAXで連絡、受取機関は中国側のプール資金から受取人へ現金を手渡す。送金額 95/12-97/2間 126億円
1997年7月
読売新聞
神奈川県警 中国福建省 未詳 「基金会」 0.5~1.0%
「基金会」は政府公認の私設金融機関。
1997年10月
読売新聞
警視庁 フィリピン 米銀行東京支店 ランド銀行 2.0%
ランド銀行は政府系金融機関でフィリッピンでは全国第3位。依頼人は同行東京駐在員。事務所の口利きで、都銀/郵便局の指定回座に資金を振り込み、これが米銀東京支店を通じ送金された。送金額は年間約60億円規模。
なお、本件とは別口で、読売新聞は、首都圏を中心とする全国組織で年間10億円以上を扱う地下銀行の組織の存在を大きく報道した。手数料一覧表を備え、1日平均5百万円を取り扱い、フィリピン系不法残留者4万人超が稼ぎだす膨大な資金を背景とするものと報じている。
1997年11月
読売新聞
警視庁 ネパール 都銀等 香港の銀行 1.0%
送金担当者(弟)は帰国した兄にFAX、電話で連絡。兄は受取人に現金を渡す。兄は香港の銀行から資金を受け取り、自動車や金塊を購入、これを本国で換金して資金を回収。これまでに5億円を送金。
1998年5月
読売新聞
神奈川県警 イラン 未詳 未詳 正規手数料に比べ安い
95/11から98/2にかけて2,000人から32億円の送金を取り扱う。覚醒剤密売などで得た資金のマネーロンダリングにも利用。イラン人グループによる薬物密売事件の捜査の中で本件が浮上。
1998年9月
読売新聞
千葉県警 タイ 未詳 未詳 135万円/4,000円。これを上回ると10万円ごとに1,000円を加算。
96/11以降これまでに3億円を送金。
1999年5月
読売新聞
千葉県警 タイ向け地下銀行、95/1以降4年間に130億円を送金。
日本の銀行日座に資金を振り込み、タイの地下銀行がグループ資金から受取人に現金手渡し。タイからの日本向け送金も取り扱い。
1999年7月
読売新聞
神奈川、宮城両県警、ペルー地下銀行、94年から5年間40億円送金
依頼人は不法滞在のペルー、コロンビア人約3,000人。94年以降5年間約40億円、依頼人は不法滞在のペルー、コロンビア人。
1999年9月
読売新聞
群馬県警、イラン人グループ覚醒剤密売事件、年間売上8億円の半分を地下銀行を通じ本国へ送金。
2000年1月
日経新聞
警視庁、歌舞伎町と杉並区の中国人地下銀行摘発。99/3-9 間10億円超送金。
2000年11月
読売新聞
埼玉県警、大宮市で中国人およびインドネシア人の地下銀行を摘発。過去3年間で50億円を中国へ送金。
2000年12月
読売新聞
静岡県警、名古屋市内でフィリピン人の地下銀行を摘発。過去3年間で40億円をフィリピンヘ送金。
2001年5月
読売新聞
京都府警、東京/銀座とマニラの事務所を利用して、過去7年間で40億円以上をフィリピンヘ送金したとして日本人2名を逮捕。
2002年11月
日経新聞
神奈川県警、横浜市内で日本人の地下銀行を摘発。過去3年間半で100億円をタイヘ送金した疑い。地下銀行を営む日本人の逮捕は
全国初めてのケース。

日本に不法に滞在する外国人(法務省のまとめによると、99年7月現在で約26万8000人、このほか密入国者が約6万人)が、旅券等による本人確認を求められる正規の海外送金手続を避け、地下銀行を利用して、不法就労や犯罪で得た収益金を本国へ送金するケースが増えています。

地下銀行といえばたとえば、イスラム伝統の送金システムとしてヒンズー語で「信用」を意味する「ハワラ」が挙げることができます。「ハワラ」は、現金を海外に移動させることなく、電話一本で世界中に送金できる信用取引システムです。このシステムで必用なものは、依頼人が持参する札東と送金先だけで、依頼人の住所、氏名、送金理由等は一切不要なのです。記録は長くは残されません。また、ネットワークの拠点はドバイにあり、年間数十億ドルの資金が動いています。

英国は最近その規制に乗り出したと伝えられています(読売新聞2001・11・16付)。地下銀行の存在理由としては、次の4つがあげられます。

  • 送金依頼人が、密入国、不法滞在、犯罪等の理由で正規の送金ルートを利用できない。
  • 送金手続が簡単である(電話申込みですむ)。
  • 送金手数料が割安である。
  • 送金資金そのものが犯罪にからむケースが多い。

地下銀行に対する国際的な取締体制について

ここで、国際的な取締体制についても若干触れておきましょう。1999年5月、日本、アメリカ、オーストラリア、香港などAP(Asia Pacific、アジア/太平洋)域25カ国。地域が地下銀行の実態解明のため、7月までに専門作業部会を設置し、各国の情報を集めてデータベースをつくり、捜査能力の向上、合同研修を行うことに合意しました。

また、1999年6月、G7(ケルン・サミット)、財務省、中央銀行総裁会議が、金融犯罪対策の徹底化と各国の協力関係の強化について合意しました。

金融機関の当局に対する報告義務について

現在、金融機関は次のとおり、疑わしい取引について当局に対し報告する義務を課されています。

  • 組織犯罪処罰・犯罪収益規制法は、疑わしい取引の届出義務を課している(54条)。
  • 外国為替および外国貿易法は、外国への支払い。海外からの支払いの受領取引の報告義務を課している(55条)。
  • 内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律では、調書提出義務を課している(4条)。

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