クレジットカード犯罪を食い止める方法を知りたいですか?

クレジットカード犯罪に巻き込まれたと感じたら!そのトラブルについての対処法を知りたくありませんか?

私達の国のクレジットカード業界は、現在、出資法上限金利の引き下げ、金融再編成、並びにITの急速な発展を受けて、今後の進むべき道を模索しています。

企業統合、消費者金融との提携、コンビニなどの参入、アウトソーシング、ICカードヘの移行、インターネットや携帯電話への対応、収益構造の見直し等前途は多岐多難です。しかも、カードをめぐる不正行為と犯罪は、ますます増加の一途をたどっています。

私達の国で、2001年の1年間に発生したクレジットカード不正使用による被害額は、276億円(うち、偽造カードによる被害額は146億円)に達しています(日本クレジット産業協会調べ)。

これだけの金額がNO TAXで犯人の懐に入っているわけです。なぜでしょうか? ある著名な弁護士さんが言われたように、カードが欠陥商品であるからでしょうか。あるいは、カードを取り扱う人々の側に、何か問題があるからでしょうか。

私とクレジットカード業界について。

私は、思わぬご縁でクレジットカード業界に身を投じ、この問題に深くかかわりをもつようになった。それまでは、私は一銀行員として、ブレトンウッズ体制の崩壊に起因する国際金融制度の混乱の下、日夜多忙な仕事に追われていました。

当時、私の頭の中は、外貨準備と為替相場で満杯で、クレジットカードの「ク」の字にも思いをはせる余裕も興味もありませんでした。ところが、数年後の昭和59年(1984)、そのような私にいわゆる肩タタキがありました。開設したばかりのVISAインター東京事務所への転出を打診されました。

「カードの知識ゼロ」を理由に即座にお断りしましたが、半年後に再考を促されることになり、3週間の猶予をいただいて、「カードとは」の模索が始まったのです。

クレジットカードビジネス「ズブの素人」からの出発

国会図書館にもぐりこみ(ビブリ技術の拙さから探し得たのは僅かに8冊)、さらに、当時のアメックス銀行東京支店長のご紹介を得て、芝・高輪の軍艦ビルにAMEXのカード部長さんをお尋ねもした。VISAへの入社を迷っている私が、AMEXへ飛び込んだわけです。

迷いに迷った揚句、私はVISA入りを決断し、そうしてズブの素人がクレジットカードビジネスにあえぎ、「たかがクレジットカード」が「されどクレジットカード」となる苦しみを痛感する次第となりました。

入社当時、メンバーが持ち込む案件の内容がわからず、教えを請う同僚もおらず、すがりつくような気持で書籍を、何度も何度も紐解いたことを今でもはっきり覚えています。その後、さらに続く不思議なご縁により、私は日本信販並びにMasterCardインターナショナル東京事務所で働くこととなりました。

クレジットカード業界をめぐる大きな流れの変化

この間、カード業界には2つの大きな流れがありました。

1つは「クレジットカードの国際化」(コンテンツ内で詳述します)です。カードの国際化は、カード自体の国際化、カード会社の体質の国際化、およびカードを使う消費者の国際化の3つの意味を持っています。

2つ目の流れは、日本におけるカード犯罪の急激な台頭でした。カード犯罪が世間の注目を浴び、その対策の必要性が叫ばれるようになったのは、平成2年(1990)頃からだったでしょうか。それまでのVISA時代5年間を通じては、カードの不正行為はあまり表面化することなく、本部から派遣されてきたセキュリティ・オフィサー(元FBI職員)は、時折取締りのため、香港やマニラに飛ぶ程度で、東京オフィス内はいたって平穏であったと記憶しています。

しかし、私がMasterCard東京事務所に参画した1990年頃から、私達の国においてカード不正行為が頻発するようになり、私は、急遽日本におけるセキュリティ・オフィサーに任命され、この問題に真正面から取り組むこととなりました。

ズブの素人を短期間に一人前(?)の専門家に仕立て上げる厳しい特訓が始まったのです。詰め込み主義と現場主義に基づく研修成果については、後ほど詳しくお知らせする予定です。

この過酷ともいうべき特訓のお陰で、私はようやくカードのセキュリティの仕組みを理解し、犯罪対策の必要性を痛感するようになりましたが、どうしても理解できないことが1つあったのです。それは、なぜクレジットカードをめぐって、こんなにも簡単に不正行為が繰り返されるのか、という疑問でした。

この問題に真正面から取り組み、クレジットカード犯罪の被害を少しでも押さえ込むことによって、お世話になったカード業界に少しでもご恩返しをしたいという思いが、私の心の中に芽生えてきたのもこの頃からでした。

本サイトの目的には、ひとりの開拓者が辿った道が、これからカード業界を支えていく若い方々に対し、少しでもお役に立てばとの思いが込められています。

本サイトの歩き方

本サイトの構成は、

第1章
クレジットカードをめぐる犯罪事件と対応策
第2章
クレジットカードトラブルを上手に解決する方法
第3章
クレジットカード犯罪とトラブル解決に強くなるための基礎知識
第4章
関連資料・用語解説(国際ブランド・クレジットカード誕生小史、私達の国クレジットカードの国際化の歩み、役に立つ参考文献一覧、クレジットカード関連用語集)

私の過去約20年間にわたるカード業界とのかかわりは、カード業界の多くの方々のご指導とご支援があったればこそのことでした。ここに改めて深く感謝申し上げる次第です。

本サイトの利用の仕方

業界用語や横文字の略語には、わかりにくい言葉がたくさんあるので、本文中に専門用語や英文略語が出てきた場合には、第4章に収録したクレジットカード関連用語集をご参照ください。

本サイトの内容は、私が現役時代そして退職後を通じて、クレジットカードに対して抱いた疑問を、業界の専門家にお尋ねし、また、専門書をひもといて知り得た知識をコツコツと集めてきたものです。読者におかれましては、私のこのささやかな努力の積み重ねを足掛りとし、踏み台として、さらに深くクレジットカードの知識を深めていただければ望んでいた以上の喜びです。

相談・連絡窓口の電話番号のリスト(順不同)

警視庁総合相談センター
03-3501-0110
経済産業省消費者相談室
03-3501-1511
総務省電気通信消費者相談センター
03-3504-4177
日本消費者協会苦情相談口
03-3553-8606
日本通信販売協会
03-3434-0550
国民生活センター
03-3446-0999
CIC
0120-414-286
03-3359-9155
国際電話不取扱いセンター
0120-409-901

当サイトは利用者にお話する前に、提供側にも問題を提起したいというスタンスで書いていきます。

当サイトの情報は私の経験を書き綴ったもので、当然利用者のためになるように情報を提供していきたいと思っていますが、それと同時に、サービス提供側、守る側にも読んでいただきたいと思っています。ですので、裏情報などもバンバン飛び出すかもしれませんが、最後までお付き合いいただけると幸いです。

日本人はクレジットカード犯罪に遭いやすい!?

日本人は、カードを頻繁に利用する外国人に比べると、「カードの管理が甘い」とよく言われます。その理由として、

  • カード会員規約への理解が低い
  • クレジットヒストリー(カード使用関連のデータ記録)という概念への馴染みが薄い
  • 個人情報への関心が低い

という3つの事情が挙げられます。

クレジットカード犯罪は、最近ますます猛威を振るっています。これに対応して国際的に、または行政レベルで、あるいはカード業界で、どのような手が打たれているのか。そして、肝心のカード会員としては今後どのように心がけていくべきかを以下にまとめてみました。

最近数年間における国際的なカード犯罪対策

  • 1994年 ICPO「第1回支払カード詐欺会議」を開催。
  • 1998年 Gリヨン会議「国際支払カード犯罪に関するプロジェクト委員会」を設置。
  • 1999年 日米財界人会議(サンフランシスコ)、「日本政府が、カード犯罪について、速やかに法の整備を行うことを要望する」旨の共同声明を発表。
  • 2001年 密航・密輸取締りのため、「日中海上取締機関長官級会議」を東京で開催(韓国とは99年に、ロシアとは2000年に、それぞれ協力文書を交換済み)。

2002年、中国公安部、密航取締官の東京駐在を決定。

国内行政当局の動き

  1. 法令整備(第3章1項参照)
  2. 1998年12月、警察庁、法務省、通産省(旧)、「ペイメントカード犯罪対策省庁連絡協議会」を設置
  3. 1998年12月、警察庁、ハッカー対策班を設置
  4. 2000年2月、警察庁、「ハイテク犯罪総合センター」を設置
  5. 2000年2月、中央省庁、ハッカー対策として不正アクセス検証装置の配備を決定
  6. 2000年3月、税関当局、偽造カード密輸水際阻止作戦を強化(全国の空港)
  7. 2001年1月、警視庁、中国人犯罪グループ活動拠点を指定し、警戒体制を強化
  8. 2001年6月、政務次官会議、外国人犯罪対策強化を提言
    • 入管体制の強化、取締官の大幅増員
    • 組織犯罪取締体制強化
    • 旅券鑑識機を全国空港へ配置
    • 2001年1月、全国クレジットカード犯罪対策連絡協議会の設置場所を拡大(12カ所から48カ所へ

カード業界のセキュリティ体制

国際ブランドカード会社のセキュリティ部門

前述したとおり、VISA、マスター等の国際ブランドカード各社は、世界を米国、アジア・太平洋地域など6つの地域(region)に分け(JCBは3地域)、地域ごとにセキュリティ部門を設け、これを本社が統括しています。

各地域のセキュリティ部門は、縦・横の連絡はもちろんのこと、インターポールやIAFCIと密接な連携を保ち、担当地域内で密度の高い情報交換とセキュリティ・フォーラムを開催しています。

IAFCIの目的は、国際金融取引(とくにカードと旅行小切手)の不正行為の防止と抑圧のための情報交換と研修です。協会は非営利団体で、本部を米国カリフォルニアに置き、メンバーは、大手金融機関、国際ブランドカード会社、THOMAS COOK(英国の著名な旅行小切手=TC業者名)、大手カーレンタル会社などがあります。前身は1968年に設立されたIACCIで、犯罪の多様化に伴い1997年に改称され、私も、MasterCardのセキュリティオフィサーの一員として参加していました。

次に通信回線とカード自体の自衛策の話ですが、敵に塩を送る危惧もあるので、詳述することは避けますが、国際ブランドは、世界規模を誇る回線を流れるデータの保護と、カード自体に織り込む偽造対策のために、巨額な資金と膨大な労力とを投下しています。

カードの偽造対策には、ノーベル物理学賞受賞者の発明したホログラムを含め、現在のところ10数種類の防止策が施されています。まさに「ハリネズミ」です。

日本カード業界のセキュリティ体制と業界の動き

2000年3月、JCCA(Japan Credit Card Association、日本クレジットカード協会)、JCIA(Japan Credit lndustry Asociation、日本クレジット産業協会)を中心とする業界7団体は、従来個別に行ってきた防衛活動を統一するため、「クレジットカード不正使用対策合同協議会」を結成し、次の3つの具体策 を発表しまた。

  • 取り締まり強化を政府に要望
  • カードIC化のためのインフラ整備推進
  • 暗証番号の管理強化

2000年5月、JCIAクレジットカードインフラ整備委員会は、次の5点を柱とする「業界の今後の不正使用防止対策」報告書を発表しました。

  • 偽造しにくいカードの開発
  • スキミング防止対策
  • 信用照会システムの見直し
  • カード会員の啓蒙活動
  • 警察当局との協力体制の確立

業界団体のPR活動も活発に行われている。

日本クレジット産業協会

  • 1999年度パンフレット「クレジットカードはあなただけのもの」配布
  • 2000年度パンフレット「クレジットカードを申込む方へ」配布

全国信販協会

  • 2001年度パンフレット配布。「クレジットカード利用ルールについて」「あなたの暗証番号は大丈夫?」「請求書が届いたら必ず確認を」「クレジットカードの利用控えは大切に保管しよう」「契約書に目を通していますか」
  • 2002年4月、啓発ポスター「しっかりジャッジ!、適正な加盟店審査で消費者トラブルの未然防止」作成

日本クレジットカード協会

  • 2001年7月、12月~2002年1月、〔暗証番号〕についてのメディア啓蒙広告

日本訪問販売協会

  • 2002年4月、パンフレット作成「知ってると、ちょっと役立つ契約&訪問販売」

消費者金融連絡会

  • ニュースレリース、2002・7・31号「キャッシングトラブル撲滅キャンペーン」

また、個々のカード会社の対策は以下のとおりである。

  • 入会審査の厳格化
  • オーソリ(信用照会)システムの見直し
  • 会員ビヘイビア調査と不正利用探知システム(CRIS、FALCON、FDSの採用など)

カード会員の心得

私は最近、第一線で日夜カード犯罪者と闘っている大手カード会社のセキュリティ担当責任者の方々に、カード会員および加盟店の店員に最も強く心がけてほしいこと、並びにカードセキユリティ上、日頃最も頭を悩ましていることは何かを尋ねてみました。回答の共通項は次のとおりでした。

カード会員に心がけてほしい10カ条

  1. カードは現金以上に常に危険と隣り合わせていることを意識する。
  2. カードの管理に細心の注意。常に所在を確認する。
  3. 義理カードはつくらない。カードは他人に貸さない。
  4. 暗証番号は推測しにくいものを。他人に絶対に漏らさない(警察、カード会社と偽って聞き出そうとする手口に注意)。
  5. ATMなどへの暗証番号の打ち込みは、覗き見されやすいから要注意。
  6. カード裏面には必ず署名する。
  7. 伝票控え、利用明細書の中身をよく調べて、きちんと保管。
  8. 盗難・紛失の場合は、すぐカード会社に連絡を。
  9. インターネットへのカード番号入力は、暗号化できる場合に限ること。
  10. レジ担当者のカードの取り扱い方を見守ること。カードを持って奥に引っ込む場合は要注意。

加盟店の店員に心がけてほしい4カ条

  1. 必ず信用照会承認を確認する。
  2. 来客と提示されたカードとが不釣合いと思ったら、あるいはカードそのものに不信感を抱いたら、直ちに信用照会とは別にカード会社に連絡する(前述したコード10の応用)
  3. 伝票上のサインとカード上のサインを照合する。
  4. 店員は、常にカードの知識を磨くよう心がけること。

カードセキュリティ上、常に頭を悩ましていること

  • CPP(Common point of purchase、カードデータを盗まれやすい店)問題。問題が多い順に業種を並べると、ガソリンスタンド、風俗店、ガード下の飲み屋。とくに風俗店は加盟店契約がないところが多く、追跡調査はきわめて困難。
  • インターネット上の「なりすまし」問題。SET(secure electronic transactions、第3章15項参照)を忌避した加盟店が今「なりすまし」で一番被害に遭っているのはやや皮肉な現象か。
  • CD/ATM不正キャッシング問題。会員のずさんな暗証番号の取扱いと、「暗証番号は生年月日で」と勧めた銀行サイドのミスリードがうらめしい。

警察当局への要望

新偽造カード取締法並びにクレジットカードの基本的仕組みについての理解を深めてください。そのためには、当局に対するカード会社の一層の働きかけと日頃のコミュニケーションが極めて大切です。

万一トラブルに遭ったら

カードを落としたら、盗まれたら

カード会社と最寄りの警察に直ちに連絡する。CIC(シー・アイ・シーのこと。日本クレジット産業協会、全国信販協会、流通系クレジットカード会社、百貨店等、40社、2団体が株主となり、84年9月に設立した個人信用情報登録・交流機関)にあらかじめ入会しておくと、その紛失・盗難サービスを利用することができます。

連絡先の電話番号は身近に常備しておくこと。そして、海外旅行中は、カード会社や旅行会社の現地窓口を利用すること。

身に覚えのない請求を受けたら

カード会社と協力して原因を徹底的に調べましょう。決して泣き寝入りしないこと!国民生活センターに相談してもよいでしょう。

カード会社へは証拠で対抗する

トラブル解決には、物的証拠が必要です。口頭の主張はまず認められませんのでご注意下さい。そのためにも、日頃の取引書類等の整理・保管が必要です。

国際電話のトラブル

まず、国際電話不取扱いセンターに連絡し、国際電話サービスの停止を依頼しましょう。それからカード会社と折衝を開始しましょう。

カード犯罪対策への一提言

以上、いろいろな切り口からカード業界の防犯対策をフォローしてみました。まるでハリネズミのような武装を備えているように思われます。にもかかわらず、カード不正行為が増加の一途をたどっているのはなぜなのでしょうか。結論を先に言うと、犯人側の動きは別として、カードを利用する会員側になにか弱点があるからではないでしょうか。

一例として、自動車業界とカード業界を比べてみましょう。車とカードを比べるのは無茶だとお叱りを受けるかもしれませんが…。

両業界とも、程度の差こそあれ、可能な限り最高のIT技術を取り入れていますよね。この点は引き分けとしましょう。しかし、この技術の塊を利用するユーザーを並べてみると教育面、とくに危機意識面で、両者に大きな差があることに気がつきませんか?

車の場合は、あらゆる機会を捉えて、「経済的損失のほか、まかり間違えば命にかかわる」危険性をドライバーに叩き込んでおり、ドライバー自身もこの点を十分意識しています。これに対し、カードの場合は、「経済的損失とクレジットヒストリーの汚点」という危険性をユーザーに叩き込む努力が足りないのではないでしょうか。

カード業界には、入会審査と会員ビヘイビア追跡調査がありますが、これはあくまで内向きのものに過ぎません。カード業界は、一歩踏み出して、もっと積極的に、また根気よく、ユーザーへの啓蒙運動を展開すべきです。まず若い人から始めましょう。

そこで注目したいのが金融広報中央委員会(日銀)が2000年5月に発行した「中学生のためのマネー入門」と「高校生のためのファイナンス入門」の2冊です。カードの貸し借り、情報流失、盗難・紛失の危険性、多重債務、セキュリティ対策等を簡潔にまとめています。カード業界もこの要領に沿って専門の立場から、もっと具体的に若い世代の教育に乗り出すべきです。

さらにもう1つ、即効性のある作戦として、会員向けのショック療法はどうでしょう。これまでどちらかと言えば隠してきたカードの恥部(犯罪とその被害)をオープンにして、カード会員の耳目を集め、その怖さをPRするべきです。そのため、マスコミ会員向け広報誌、チラシなどを大いに活用します。犯罪年報をつくり、警察にも定期的に提供する。

日銀は2000年6月、銀行券の偽造防止ポイントをカラー写真で細かく説明したパンフレットを発表しました。「臭いものに蓋」をするのではなく、逆に公開することで、一般に警告を発するスタンスです。大いに参考とするべきではないでしょうか。