日本のクレジットカードが海外でも!~国際化の幕開け~

日本のクレジツトカードの国際化

今回は、日本のクレジットカードの国際化の動きを考察しましょう。

付表は、カード業界大手8社(ABC順で、AMEX、ダイナース、DC、JCB、MC、日本信販、住友クレジットサービスおよびUC)の海外進出の歩みをまとめたものです(資料は各社の社史等による)。日本のカード業界は、カード元年(1960)から今日までを通観すると、現在は第3期目に入っています。

第1期は(1960年代)手探りの暗黒時代。米系2社の例外的な国際カードの発行を別とすれば、業界は対外取引原則禁止の為管法に押さえ込まれて、手も足も出なかった時代。第2期(60年代の終わりから約10年間)は、黎明期。海外渡航制限が次第に緩和され、VISA、master charge(マスターカードの前身)との提携をてこに、大手カード会社が自らの手で国際化を模索し始めた時代。そして、第3期(1980~)は黄金期。この期に入ると、為管法が自由化の方向に動き出し、それまでに鬱積されてきた業界の国際化への願望とエネルギーが、燎原の火のごとく広がり始めた時期です。

この間の動向を、VISA、MasterCard、JCB系各社のカードの券面上に表示された文言、internationalに焦点を当ててその動きを追ってみましょう。なお、内外のCD/ATMの接続もこの第3期から活発化しました。参考までに付記しておきます。

まず、第1期、2期に発行されたカードの券面上には、

  • valid only in JAPAN
  • 国内専用
  • このカードは国内専用です。外国では使用できません。
  • 日本国内用

などのシバリ文句が付されていました。それでは internationalの文言はいつ頃から使われだしたのでしょうか。

1980年前後から、留学、学術研究、業務、観光、親族訪問などの海外渡航が次第に自由化され始め、国民の海外渡航熱が急速に高まってきました。これを視野に入れて、1980年2月、住友クレジットサービス社が「international」の文言を付けた国内外共通VISAカードを発行しました。これがインターナショナルカードの最初と目されます。各社は一斉に追随しました。

internationalの文字の創作者は、今となっては「読み人知らず」ですが、その前身は、

  • 海外専用カード
  • 国内海外共通カード
  • 国際カード
  • valid worldwide

などの文言でした。これらの言葉から類推すると、国際的に使用可能、すなわちinternationally usableまたはvalidの文言が自然に浮かんできますが、これをinternationalの一語に収斂した語学的、デザイン的感覚に敬意を表したくなります。

VISA、MasterCardだけでも、現在、世界規模でそれぞれ2万数千のメンバーを擁しており、個々のメンバーのカードを悉皆調査することは不可能に近いが、私の10年余の両ブランドでの勤務経験からいうと、internationalの文字付きカードを発行している国は日本(そして韓国)以外にはあまりないのではなかろうか。

ところで、厳しい為替管理法の落し子ともいうべきこのinternationalの文字は、いまや使命を全うし消えていく(fade away)運命にあるのでしょうか。数年後のカード更新期に削除することを検討している向きもあるように側聞するが、大勢としては、この言葉は業界にしっかりと定着して、老兵は決して死なず(never die)の道をたどっていくと信じたいところです。

日本カード業界の海外進出の歩み

1961・1
ダイナース、国内会員募集開始。券面上に[valid only in JAPAN]および「日本国内用」の文言付き。
1961・1
ジェーシービー、初の国内カード発行。
1963・10
ダイナース、外貨預託方式による初の国際カード発行。券面上に[valid worldwide]の文言付き。
1967・8
ジェーシービー、AMEXグリーンカードの取次ぎ発効開始(カード裏面にJCBマークを印刷、国内使用不可、海外のみで利用可能、有効期間1年、海外渡航するJCB会員に発行。有効期間内に帰国したときはカードを返却させた。有効期間内に再渡航するときは、このカードを再貸与)。
1967・12
住友クレジットサービス、BankAmericardと提携。
1968・4
DC、国内カード発行。
1968・6
住友クレジットサービス、国内専用カード(valid only in JAPAN)および国際カード(BankAmericard)を発行。
1968・6
ミリオンカード、国内専用カードを発行。
1968・9
MCおよびDC、master chargeと提携。
1969・8
UC、国内専用カード(「このカードは、日本国内専用です。外国では使用出来ません」の文言付き)を発行。
1969・9
日本信販、master chargeと提携。DC、国際カード(master charge)を発行。
1971・7
MC、海外専用カード(master charge)を発行。
1972・4
UC、master chargeと提携。海外渡航者向けに国際カード(master charge、有効期間1、3または6カ月)を発行。
1973・6
日本信販、海外渡航会員に国際カード(master charge、有効期間6カ月)を発行。
1973・6
MC、DC、UC 3社、会員の海外キャッシング・サービス並びに外国会員への日本国内キャッシング・サービスを開始。
1974・3
JCB、国内カードの券面上に[valid only in JAPAN]、裏面に「このカードは、国内用です。外国では使用できません」の文言を印刷。
1978・10
ダイナース、これまでの便宣主義的な短期国際カードに代え、本格的な国内外共用カード、ダイナース・インターナショナル・カード(valid worldwideの文言付き。年間会費6000円)を発行。
1980・2
住友クレジットサービス、国内外共通VISAカード(「international」の文言付き。年間会費無料)を発行。
1980・4
AMEX、JCBの意向を押し切る形で、単独でAMEX Gold Card発行。
1981・2
MC、DC、UC、国内外共通MasterCardカード(「international」の文言付き)を発行。
1982・6
JCB、JCBインターナショナルカード(〔international〕の文言付き)発行。
1983・7
ダイナース、国際カードの表面上に表示してきた〔valid worldwide〕の文言を削除。
1984・10
ダイナース、CDコーナー設置。
1985・12
住友クレジットサービス、新東京国際空港にグローバルATM第1号機を設置。
1986・1
UC、ホテルニューオータニにグローバルATMを設置。JCB、PLUS ATMネットワークと提携。
1986・7
日本信販、VISA・郵貯・ジョイントカード(「international」の文言付き)を発行。
1986・10
MIC、MasterCard lnternationalと 提携し、相互C)CD機を接続、MC会員の海外キャッシングおよびマスターカード海外会員の日本におけるキャッシングを可能とした。
1987・9
ダイナース、海外のCD・ATMでキャッシングサービス開始。
1987・11
日本信販、日本信販・VISAジョイントカードInternationalの文言付き)を発行。
1987・12
同上、日本信販・MasterCard。ジョイントカード(同上)を発行。
1988・9
JCB、ダイナースと提携、JCBのCD機をダイナース海外会員に開放。
1989・12
MC、CIRRUS ATMネットワークと提携。
1994・9
日本信販、PLUS ATMネットワークと提携。
1995・6
MC、自社CDをVISAおよびPLUSカード海外会員へ開放。
2000・2
日本郵政グループ、同年7月の沖縄サミットおよび2002年のワールドサッカー大会に備え、全国に展開している郵貯ATM 2万数千台を順次グローバルATM化し、国際ブランドクレジットカードに解放する旨発表。

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