提携クレジットカードとは?企業とカード発行会社のオリジナルカード

提携クレジットカード

提携カードとは、企業や団体などがカード会社と共同で発行する自社ブランドのクレジットカードをいいます。現在、カード市場にはさまざまな業種の企業が多数参入していますが、カード業務に関するノウハウやシステムを持たない企業・団体がカードを発行できるのは、主としてこの提携カードを足掛かりにしているからです。

提携カードとは

郵貯ジョイントカードも提携カードの一種です。提携する相手先のカード会社が、国際ブランドカードに加盟している場合、国際ブランドカードは、メンバーが提携しようとしている企業の業種、提携条件、カードのデザインなどを厳しくチェックしています。

提携カードはなぜ生するのか

提携カードは、企業や団体などの提携先とクレジットカード会社のニーズ、並びに時代の流れが合致するところで発生します。この関係を示すと、次の図のとおりとなります。

提携カードの発生要因

時代の要請

  • カード社会への移行
  • カードのステータス・シンボル化
  • 異業種からのカード業務参入意欲の高まり
  • 社会貢献
  • 消費者へのサービス強化

企業のニーズ

  • 優良顧客優遇
    • 優待割引
    • 景品・サービス提供
    • 後払いなど
  • 顧客の囲い込み
    • 情報蓄積
    • 商品・在庫管理
    • マーケティング
  • 自社の差別化
    • ロゴ表示

クレジットカード

  • 決済機能
  • ID機能
  • 与信機能

カード会社のニーズ

  • カード発行枚数の増強
  • 代行業務の拡大
  • 規模の利益の追求
  • 加盟店囲い込み
  • 自社の差別化

時系列で見ると、後述するように、代行カード、オンネームカード、アフィニティカード、大型提携カードなどと呼び方が変わるとともに、機能や用途の幅も大きく変化してきています。

提携カードの発行枚数と種類

結論を先にいうと、正確な発行枚数、その種類ともに不明です。『クレジットカード新サバイバル戦争』(岩田昭男著)、「週刊ダイヤモンド」(99・2・27)、「日経ビジネス」(98・10。19)、読売新聞(99・3・17)などによると、大型提携カードの発行枚数は、98年9月現在で約3400万枚と推測されます。また、「大手カード会社の発行枚数の半分以上は提携カード」ともいわれているようです。

では種類はどうなっているのでしょうか。「全部で数千種類」「某大手信販会社のみで1000種類以上」「現在のキャッシュバックカードは500種類以上」などの記事が散見されます。いずれにしても、隔靴掻痒、正確な数字は不明です。

提携カードの名称

次の表を見てください。提携カードはいろいろな名前で呼ばれています。

提携カードの呼び方(50音別)

名称 内容 代表例
アフィニティカード 提携先が非営利団体のカード。売上金の一部が提携先に寄付されます。 日本野鳥の会カード(オリコ)
大型提携カード 自動車、石油元売り、航空会社、ホテルなどの大規模企業を提携先とするカード。売上高に応じポイントを与え、キャッシュバックなどを会員に提供。 キャッシュバックなどを会員に提供。トヨタカード(JCB、UC、MC)、JALカード(JCB、DC)、Xカード(日本信販)
オンネームカード 提携先のロゴマークをカード面上に印刷し、カード会社が発行するカード。業務分担は提携先との話し合いで決定。 提携カードの典型的名称
加盟店開放型カード カード会社と提携先ちがそれぞれの加盟店ネットワークを相互(あるいは一方的)に開放するカード。カードの汎用性を高めるのを目的とします。 JCB日立カード(JCB・日立クレジット
キャッシュバックカード 提携先のマーケティングを主目的とするもので、カードの利用金額により現金が還元されたり、商品購入時の割引、景品プレゼントなどのサービスが付与されたカード。 型提携カード
コ・ブランドカード 提携先のマーケティングを主目的とするもので、提携先が主に営利団体(企業)であるため、アフィニティーカードと区別するために使われるようになった名称。 同上、MasterCardの呼び名でもある
ジョイントカード 郵貯のキャッシュカードにカード会社のクレジットカード機能を付加したもの。地方自治体との提携により、行政サービス機能を付加したものもあります。 郵貯カードセゾン(クレディセゾン)
スイッチカード 異なった業態に属するクレジットカード会社が提携して発行するカード。 博多大丸ロイヤルカード(セントラフレファイナンス、ライフ)
代行カード 百貨店などの小売業者がクレジットカード会社に与信や債権管理・回収などのカード業務を代行させて発行する自社ブランドのカード。提携カードの原型といわれる。 松坂屋カトレアカード(日本信販)、高島屋ローズカード(日本信販)、P’Sカード(日本信販)
ブルカード コ・ブランドカードと同義
ツインカード クレジットカード会社が代行カードを発行する際、カード会社が自社カードを同時に発行するもの。ダブルカードの機能を2枚のカードに分けたもの。 資生堂花椿カードと日本信販カード
FFPカード 国際線航空会社がフライトマイル数に応じてポイントを付与・蓄積し、無料航空券などを提供するもの。フライトに加え、加盟店での利用にもポイントを付与。97年4月の景表法改正後、国内線にも解禁されました。マイレージ・サービスとも呼ばれています。 JALカード(JCB、DC)、ANAカード(JCB、住クレ、ダイナース)
FUPカード カード利用金額・頻度に応じて特典を与えるカード。 カード(日本信販)、日石Enaカード(日本信販)
ポイントカード カード利用金額・頻度に応じポイントを付与し、ポイント累積数により景品やサービスなどの特典を与えるカード。 大型提携カード

資料:西ヶ谷葉子『クレジット・金融用語辞典』(金融財政事情研究会)、岩崎和雄『クレジット用語辞典』(近代セールス社)などより作成

このほか、「トヨタカード」とか「JALカード」など、有名提携先の企業名を付したものもあります。また、 1つのカードが、いくつかの名前で呼ばれていることもあります。

たとえば、「JALカード」。キャッシュバックカード、FFP(フリークエント・フライヤーズ・プログラムカード)などとも呼ばれています。このように、呼び方は重複している場合もあるが、大きく次のように分類することができます。

形式上の分類
大型提携カードとキャッシュバックカード。代行カードとオンネームカード等
機能上の分類
スイッチカード、加盟店開放型カード等
利益還元上の分類
一般に言われるアフィニティカード等

なお、VISAあるいはMasterCard提携カードなどという言葉を耳にすることがあります。これは、国際ブランドカード(=フランチャイザー)へ加盟しているメンバー(=フランチャイジー)との関係を「加盟」と表現するか、「提携」と表現するかの違いによるものです。

「提携」と表現すると、メンバーが発行するすべてのカード(プロパーカード)はすべて提携カードとなり、本来の提携カードとの区別がつかなくなるので、「加盟」と称したほうが理解しやすくなるのではないでしょうか。

多様な提携カードの説明

具体的な説明に入る前にまず、クレジットカード会社の業務の大筋を、次の表によって頭に入れておいてください。提携カードでは、カード会社と提携先企業とがカード業務をどのように分担するか、常に問題となるからです。

カード業務の内容

基本業務 企画、法務、財政、金融(資金調達など)、セキュリティ対策、システム運営・管理
イシュアー業務
  1. 会 員:勧誘、入会審査、カード発行、顧客管理、オーソリ承認など
  2. 債権管理:与信管理、不正使用、リスク管理(盗難・偽造)など
  3. 請 求:請求書作成。発送、決済など
  4. 督促・回収:オートコール、法的対応、不良債権償却など
アクワイアラー業務
  • 加盟店:勧誘、審査、加盟店管理など
  • オーソリ:端末管理、オーソリ承認、無効通知など
  • 売 上:伝票処理、立替払い、 トラブル処理など
その他 顧客サービス、インフォメーション・サービス、通信販売、会員誌発行、データ管理など

オンネームカード

提携先の名前やブランドを付したクレジットカードのことをいいます。カード会社が発行主体となり、会員募集・与信などの業務分担は、カード会社と提携先との話し合いで決まります。

スイッチカード

銀行系カード会社と流通系カード会社など異なる業態のカード会社がそれぞれ発行しているカードを一体化させたカードをいいます。カードの機能が向上し、収益並びに会員情報の共有化というメリットがある反面、リスク負担上の問題がしばしば表面化します。

加盟店開放カード

スイッチカードの一種で、カード会社と提携先とが、それぞれの加盟店ネットワークを相互に(あるいは一方的に)開放するカードをいいます。このカードでは、提携先が主としてカード業務一切を扱うケースが多い。

代行カード

小売業者がカード会社に依頼して発行してもらう自社ブランドのカードを指します。日本の代行カード第1号は、68年に日本信販が発行した「松坂屋カトレアカード」と「高島屋ローズカード」だといわれています。

通常は、提携先が会員募集と入会審査とを担当し、他の業務は一切カード会社が行います。カード業務の経験がなく、システムも持たない提携先の「カードを発行したい」というニーズを満たすうえでも、このカードは大きな役割を果たしています。

アフィニティーイカード

各種のクラブ、同窓会、スポーツチームなどの非営利団体を提携先として発行されるカードをいいます。「日本野鳥の会」「ユネスコサポートカード」、「大学カード」の類です。カード会社が業務の大半を担当し、カード売上の一部を提携先に寄付することが特徴になっています。カード会社の社会貢献を求める声に応えて生まれたカードです。

大型提携カード

提携先は、航空、自動車、百貨店、ホテル等の大規模企業が一般的です。カードの売上金額に応じて、景品、サービス、ポイント、現金、割引などの特典が会員に与えられます。「FUP=フリークエント・ユーザーズ・プログラム」「FFP=フリークエント・フライヤーズ・プログラム」「キャッシュバックカード」「ポイントカード」などは大型提携カードである場合が多いようです。

アメリカでは、83年のシティコープの「チョイスカード」や、シアーズローバックの「ディスカバーカード」が大型提携カードの始まりといわれています。その後、クライスラーの「車を買ってチェックをもらおう」キャンペーンや、ノースウエスト会社の「マイレージ プログラム」など相次いで新商品が開発されました。AT&Tのユニバーサルカード(91年)、GMカード(92年)は、この航空会社のマイレージプログラムをお手本として誕生したものです。

各業界の主要大型提携カード(1997年10月末当時)

業界 カード名 クレジット会社 発行時期 キャッシュバックなどの特典(P=ポイント)
自動車 トヨタカード JCB、UC、MC 95年1月 トヨタ系列販売店では利用金額1000円につき30P、カード会社加盟店では1000円につき15Pを付与。1P1円で換算し30万円までキャッシュバック。ポイント有効期間は5年。
ニッサン・カーライフICカード JCB、住クレ、UC 96年4月 日産系列販売店・カード会社加盟店ともに利用金額1000円につき10Pを付与。日産系列販売店分は1P3円、加盟店分は1P1.5円で換算し、30万円までキャッシュバック。ポイント有効期間は5年。
ホンダCカード JCB、UC、DC 95年11月 ホンダ系列販売店では利用金額1000円につき30P、カード会社加盟店では1000円につき15Pを付与。1P1円で換算し30万円までキャッシュバック。ポイント有効期間は5年。
航空 JALカード JCB、DC 89年12月 89年12月国内。国際線のフライトマイル数に加え、カード会社加盟店などでの利用金額200円を1~2マイルに換算。マイルの有効期間は1年。
ANAカード JCB、住クレ、ダイナース 89年4月 国内。国際線のフライトマイル数に加え、カード
会社加盟店などでの利用金額100円を1マイルに換算。マイルの有効期間は1年。
JASカード JCB、日本信販 93年7月
石油 Xカード(昭和シェル) 日本信販 95年4月 カード利用金額1万円につき1Pを付与し、1ヵ月30ポイントを上限とし翌々月に一定の割合でガソリン価格などにキャッシュバック
Enaカード(日石三菱) 日本信販 96年4月
出光カード(出光興産) 出光クレジット 95年9月
JOMOカード(ジャパンエナジー) 日本信販 96年4月
百貨店 三越カード UC 96年3月 現金・カードともに5%の割引。
タカシマヤカード JCB、日本信販、住クレ 96年5月 カード利用金額100円につき7Pを付与、2000Pで2000円のお買い物券と交換。
京エパスポートクラブ JCB、住クレ、DC 96年4月 現金・カードともに5%割引、ほかに中元。歳暮10%割引など。
通信・放送 KDDカード JCB、住クレ、UC、DC、 セゾン 96年5月 国際電話1000円につき50P、カード会社加盟店利用では1000円につき5~ 10Pを付与。月間2万Pを上限として蓄積し、1P1円で換算しキャッシュバック。ポイントの有効期間は2年。
IDCカード JCB、UC、MC、DC、日本信販、セゾン 96年7月 国際電話1000円につき50P、カード会社加盟店利用では1000円につき10Pを付与。年間20万Pを上限として蓄積し、1P1円で換算しキャッシュバック。ポイントの有効期間は2年。
日本テレコカード 住クレ、MC、イオン 97年1月 市外通話100円につき5P、カード会社加盟店での利用金額1000円につき10Pを付与。年間500P以上で1P1円に換算しキャッシュバック。
その他 パスタカード セゾン 93年10月 パスタ加盟店での利用金額の10%をキャッシュバック。年間1万円以上の利用が条件。
ヤマハカード 住クレ、UC、日本信販 96年4月 利用金額1000円につき1Pを付与し、ヤマハ特約店での楽器購入時に1P10円で換算しキャッシュバック。ポイントの有効期間は1年。

資料:岩田昭男『クレジットカード新サバイバル戦争」(ダイヤモンド社)および「月間消費者信用」97年12月号より作成

日本における提携カードの起源は、80年代に地方のクレジットカード会社が地元の商店街と提携して発行したカードであるといわれていますが、本格的なものとしては、GMカードにヒントを得た「トヨタカード」(95年)とされています。大型提携カードでとくに注目されるカードをまとめると、上記の表のとおりとなります。

提携カードの今後の見通し

アメリカでは、キャッシュバックカードはすでに頭打ちの状態に入ったようです。たとえば、GMカードは、97年初めにゴールドカードの特典を一般カード並みに引き下げました。フォードカードも97年末にリベート制を打ち切りました。いずれもキャッシュバックの重圧に耐えられなくなった結果と伝えられています。

日本の場合は、カード会社がキャッシュバックの財源を負担する形となっており、しかもこのほか、提携協力費、顧客斡旋手数料、保険料、チャージバック関連費用、初年度年会費無料などの要因で、カード会社の収益はかなり圧迫されているのが実情です。さらに、高速道路カード利用代金にかかわるキャッシュバックを売り物とするJCBの「ドライバーズ・プラス・カード」や、セントラルファイナンスの「お湯割りくん」なども出現し、過当競争時代に入っているようです。

トヨタカードとGMカードとの比較

トヨタカード GMカード
年会費 初年度無料 無料
カードの位置付け 新車販売のためのマーケティングツール 顧客関係強化のためのロイヤリティツール
特典 トヨタ販売店では利用金額の3%、加盟店では1.5%のポイントを付与し、車の購入や
車検の際, 1ポイント1円で換算し、最高30万円のキャッシュバック。有効期間5年。
  • 利用金額の5%がポイントとして蓄積される。新車購入の際、最高3,500ドルをキャッシユバック。有効期間7年
  • ホテル、レンタカーでもポイント付与
  • 他社カードによるリボ残高をGMが買い入れ、これについてもポイントを付与
キャッシュバック財源 主としてカード会社が負担 GM負担。ただし、提携先から顧客斡旋手数料5%を徴収

提携カードは、「カード会社間のシェア争いに下支えられ、ここ当分は発行枚数は横ばい」とみる向きが多いのですが、そろそろ見直しの時期に差しかかっているのではないでしょうか。

SNSでもご購読できます。