
国内ルールは日本国内で当初大手銀行系カード会社数社が決めた独自のルールで、国際的には通用しません。
しかし、これはこれなりに差し障りなく動いているようですが、ボーダーレス化が進んでいる今日、その独立性がいつまで続くのか分かりません。
今回は国内外のチャージバックルールの違いについて見てみたいと思います。
国内ルールの国際化問題
一般的にいって、クレジットカード関連のチャージバック国内ルールは、国際的な視野から見ると独自色が強く、いろいろとお家の事情もあって、なかなか国際化され難い、あるいはuntouchable(手を触れてはいけない)であるといわれています。
前述したように、政府はOECD、CCPのリポートを受けて、具体的な検討を日本クレジット産業協会のインフラ委員会に委ねました。同委員会は、いろいろな角度からルールのあり方について検討を重ねましたが、結論を出すことができず、VISA、MasterCardも、内政不干渉を盾に乗り出そうとせず、結局はっきりした結論は出てきませんでした。
これについては、似たような話がインドネシアや香港でも生じたことがありました。両国とも、強力な業界団体が存在せず、最後には、VISA、MasterCardが要請を受けて乗り出し、国際ルールが持ち込まれて決着を見た経緯がありました。
日本の場合は強力な業界団体が複数存在し、国際ブランドは出るに出られず、といったところでしょうか。まさに、アンタッチャブルといわれる所以です。
国内・国際ルールの相違点
次の表は、国内ルールの原則、流れ、手続などを国際ルールと比べてみたものです。国際ルールを踏襲した点がある半面、まったく異質な点もあって興味深い物となっています。
チャージバック制度の内外比較
国際ブランドのルール | 国内のルール | |
---|---|---|
チャージバックの原則 |
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チャージバックの流れ |
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検索請求 | 可能な場合と必要な場合を限定 | 特にルール無し |
フルフィルメント | 回答期限と内容を限定 | 特にルール無し |
チャージバック回数 | 2回(ATM取引は1回) | 1回または2回(弾力的運用) |
チャージバック実行可能期間 | CS処理日から45日~180日以内(各リーズンごとに明示) | CS処理日から65日、80日または110日以内(各リーズンによる。弾力的に運用) |
証拠書類の添付 | 各リーズンごとに明示 | 特にルールなし、適宜 |
リーズンの数(97/10時点) | VISA 40種 マスターカード 24種 |
14種(例示的、一部形骸化) |
最小金額 | 25ドル | 5,000円(弾力的に運用) |
アービトレーション | 一定期間内にVISA、MasterCardへ | 国内決済機関などを経由し第二者へ(第二者は話合いの場所を提供し、司会を担当するのみ) |
アービトレーションに対する不服申立て | VISA、MasterCardの事務局長を経て、総会 | Wtta)v-)v/t\- |
具体的な面に入って検討し、主な内外ルールの相違点を挙げてみると次のとおりとなります。
- 加盟店が倒産した場合
- 国際ルール
- チャージバック可能。
- 国内ルール
- 原則としてイシュアーがリスク負担。
- 通販取引の場合
- 国際ルール
- いろいろなリーズンで幅広く対応可能。
- 国内ルール
- リーズンが限定されている。
- カード取扱い手数料(surcharge)
- 国際ルール
- カード取引と現金取引とを差別することを禁止し、カード取引価格にsurchargeを上乗せすることを認めていない。
- 国内ルール
- 表向きは禁止。しかし、実際には現金販売価格とカード販売価格を分けている加盟店が多数存在。ただし、これをチャージバックする方法はない。