クレジットカード業界をめぐる大手会社の俯瞰図

クレジットカード業界の俯瞰図

日本の金融界は、再編、淘汰、提携、異業種参入、コンビニエント・ストアーによるATM展開などの大波に洗われて、今めまぐるしく動いています。

1983年(新銀行法施行)当時、磐石視されていた都銀13行、長銀3行の構図は跡形もなく消え去り、今や4大フィナンシャルグループ、プラス数行が登場し、これに新規参入銀行が加わり、さらなる再生の道を模索しているように見えます。

金融界の再編

銀行名 主要出資企業
ネット専業銀行
ジャパンネット銀行
イーバンク銀行
ソニー銀行

三井住友銀行、富士通、日本生命、東京電力

伊藤忠商事、日立製作所、日本テレコム、三井海上火災、住友商事

ソニー、三井住友銀行、JPモルガン

ネット重視の銀行
アイワイバンク銀行
新生銀行

イトーヨーカ堂、日本生命、住友生命、東京海上火災、セブンインブン、UFJ銀行、あさひ銀行、野村証券等

新生銀行

大手銀行のネット支店
みずほ銀行ェムタウン支店
UFJ銀行インターネット支店
スルガ銀行ソフトバンク支店
大手銀行が提供するネット上での即時決済サービス
ネットデビット
インターデビット

三井住友、UFJ、あさひ、スルガ各銀行およびジャパンネット銀行

富士銀行、郵貯(日本インターネット決済推進協議会)

郵貯と提携したもの
ソニー銀行
ジャパンネット銀行
イーバンク銀行
コンビニエンスストア
am・pm
ファミリマート
サークルケー
スリーエフ
ミニストップ
サンクス
デーリーヤマザキ
セブンインブン
ローソン

資料:日本経済新聞等より作成

これに伴い、カード業界、とくに銀行系クレジット会社も、従来の銀行や信販、あるいは流通といった垣根を越えて、淘汰、再編、提携、統合などの荒波をかぶっている(なお、参考までに表27で02年9月現在のカード会社と母体銀行/企業の関係をまとめておきました)。

2002年9月現在
JCB
三井住友VISAカード
DCカード
東京クレジットサービス(現在は東京三菱UFJ銀行の傘下)
UCカード
UFJカード
あさひカード(現在はあさひ銀保証(現・りそな保証)」に吸収合併)
大和銀カード(現株式会社りそな銀行又は株式会社埼玉りそな銀行系)
JCB北海道
新生カードサービス(2002年8月よりAMEXと提携)
共同クレジットサービス
バンクカードサービス

資料:月間消費者信用毎年9月号並びに関係各社の社史より作成

この動きの中で、日本唯一の国際ブランドホルダーとしてのJCBが、独自路線を貫いているのは注目にしたいところです。

また最近、MasterCardに加盟した大手消費者金融業者(アイク、アイフル、アコム、武富士など)の今後の動きからも目が離せません。

クレジットカード業界の構成

ところで、「クレジットカード業界」にはどのような企業が参画し、どのような業務を行っているのでしょうか。
経済産業省が毎年実施している「特定サービス産業実態調査」によると、同調査で対象としている「クレジットカード業」とは、

クレジットカードを発行し、消費者(会員)が加盟店から、商品・サービス(消費者金融を含む)を購入する際の信用保証、購入代金の立替払い、会員に対する請求・集金等の業務を含む事業所を有する企業のうち、クレジットカード業務の会社系統が

  1. 銀行系
  2. 信販会社
  3. 中小小売商団体
  4. 百貨店・量販店
  5. 流通系
  6. 電機メーカー系
  7. 電器小売専門店
  8. 石油元売会社等の企業

で、これらの業務を主業としない企業も含まれる

とあります。

これらの企業に加え、通信販売会社、訪問販売会社、自動車ディーラー、自動車メーカー系クレジット会社、信用保証会社、民間金融機関、消費者金融会社などが含まれる場合もあります。

この業界は誕生して40年ほどで、その歴史は比較的新しいものですが、2001年度におけるクレジットカード業界の年間取扱高は34兆6000億円を記録し、今後ますます成長すると見込まれています(一説によると80兆円産業と称される)。

この業界に参画する企業の業種は多岐にわたり、業界のすそ野の広がりには今さらながら驚かされます。以下、この業界の参画企業やその概要などについて眺めてみましょう。

なお、2001年1月6日に、従来の中央省庁は1府12省庁へ移行しました。本稿では、必要に応じ新・旧省庁名を書き分けている点、ご了承ください。

クレジットカード会社

通産省の「平成11年特定サービス産業実態調査報告書」によると、日本でクレジットカード業務を営む企業数は517で、業種別内訳は次のとおりです。

  • 銀行系(JCB、住友クレジット、UC、DC、MCなど181企業)
  • 信販会社(日本信販、オリコ、ジャックス、セントラルファイナンスなど57企業)
  • 百貨店0量販店・流通系(クンディセゾン、ダイエーオーエムシー、マイカルカードなど100企業)
  • その他(中小小売商団体、電機メーカー系、石油元売会社、電器小売専門など179企業)

国際ブランドクレジットカード会社への加盟

5つの国際ブランドのうち、VISAインターナショナル、MsterCardインタナショナル、JCBはフランチャイズ制を採っており、その参加資格などは次のとおりとなっています。

参加資格 メンバーシップの種類
VISAインターナショナル
  • 所在国の銀行法により要求払預金業務を行う銀行(子会社を含む)
  • バンクカード、TC、トラベルマネー業務を行うもの
  • カード業務発展のため理事会がとくに認めたもの(スペシャルライセンシー)
本会員
  • ※プリンシパル…カード業務全般を行う
準会員
  1. アソシエイト…※にスポンサーされ、※の業務を行う
  2. パティシパント…※または①にスポンサーされ、会員勧誘と加盟店開拓を行う
  3. マーチャントバンク…加盟店業務を行う
  • その他6種類…キャッシング、TC業務など
MasterCardインタナショナル

金融取引に従事することを法的に認められる金融機関。金融取引とは、商業信用、消費者信用、その他与信、カード取引、TC発行または預金業務をいう。

本会員
  1. ※プリンシパル…カード業務全般を行う
準会員
  1. アソシエーション…※の指図の下※の業務を行う
  2. アフェリエイト…※または①の指図に従い業務を行う
  3. エージェント…※の名称の下※の業務を代行
  4. TCメンバー…TC業務を行う
JCB

カード業務発展のためJCBが参加を認める銀行、証券、保険会社等およびその系列クレジットカード会社。イシュアー業務に限定

FC資格は同一

クレジットカード会社の国際プランド加盟状況

上記各カード会社の国際ブランドヘの加盟状況(提携カードは除く)は次のとおりです。

ビザ・インターナショナル ビザ・ジャパングループ(43社)
ユーシーカードグループ(43社) マスターカード・インターナショナル
ディーシーカードグループ(33社)
ミリオンカードグループ(21社)
協同クレジットサービス
全国地方銀行協会
日本信販
クレディセゾン
ダイエーオーエムシー
オリエントコーポレーション
セントラルファイナンス
国内信販
ジャックス
イオンクレジットサービス
オムニカード協会
ライフ
アイクカードサービス
マイカルカード
日立クレジット
ユニーカード・サービス
アイフル
アコム
JCB JCBグループ
あさひカード・さくらカード、UFJカードサービス、プロミスなど(75社)

加盟店

1999年11月現在の主要各社(銀行系・流通系カード会社および信販会社)の加盟店数は次の表のとおりで、約1,643万店に達しています。しかし、この数字は各社の加盟店を単に積み上げたもので、重複分を除く実数は不明である(ある大手アクフイアラーの加盟店数は約200万店となるそうです)。

クレジットカード会社の国内加盟店数

(単位:千店)

区分 加盟店数 構成比
銀行系 12,493 76.0%
信販系 2,558 15.6%
流通系 1,189 7.2%
その他系 193 1.2%
合計 16,433 %

資料:「平成11年特定サービス産業実態調査報告書」通産省

次に、加盟店数と売上高との関係をみてみましょう。仮に加盟店数を100万店とし、その構成を左側のピラミッドのように仮定すると、売上高のシェアは右側の逆ピラミッドで示されるといわれています。

加盟店数と売上高比率

加盟店数と売上高比率

  1. 大型店400店(うち百貨店141)
  2. 中小チェーン店4600店
  3. 専門店99万5000店

このように構成比では1%前後の大型店が全売上高の40%を占めていることから、百貨店などに設置される信用照会および不正探知機をカード会社ヘ接続することが不正行為を防ぐためにいかに重要であるかが明らかとなるでしょう。加盟店の開拓・管理で重要なポイントは、

  1. 加盟店手数料
  2. クレジットカードのアクセプタンス(加盟店における国際ブランドカードの無差別受け入れ)
  3. 不良加盟店の摘発・排除

の3点です。

銀行/郵貯

カード会員のクレジットカード利用代金を決済する金融機関です。アメリカでは小切手により決済されますが、日本ではカード会社・会員・加盟店3者の回座間の自動振替システムという便利な制度があります。

業界団体

  • 日本クレジット産業協会(JCIA)
  • 日本クレジットカード協会(JCCA、CATS事務局を含む)
  • 日本クレジットカウンセリング協会
  • 日本損害保険協会
  • 全国信販協会(CAT事務センターを含む)
  • 日本消費者金融協会(JCFA)
  • 日本百貨店協会
  • 日本商店連盟(日商連)
  • 日本専門店会連盟(日専連)
  • 国際カードビジネス協会(ICBA)
  • テレコムサービス協会(第二種電気通信事業者および情報通信関連業者を中心とする業界団体)
  • 日本電子機械工業会(EIAJ)
  • 日本通信販売協会(JADMA)

システム関連業者

海外では、国際ブランドがそれぞれ専用回線を張りめぐらしています。次の表は、国内のシステム回線をオーソリ用・キャッシング用に分類したものです。

日本のの主要システム業者と回線名

業者名 回線名
オーソリゼーション

NTT、NTTデータ通信、G-PNet社、日本ネットワークサービス社、日本カードネットワーク社、日本アイ・ビー・エム

NTT回線
公衆回線(ダイアルライン)、専用線(リースドライン)、自営回線(同上プラス自前設備)、DDX-P(デジタルデータエクスチェンジパツケージ)、INS(インテグレーテッドネットワークシステム)、ISDN(総合デジタルサービスネットワーク)
  1. CAFIS
  2. G-PNet
  3. Master Net
  4. CARDNET
  5. CATNET(98年に打ち切り
キャツシング

NTTデータ、都銀系、信託銀行系、地方銀行系、信用金庫系、日本キャッシュサービス社、オリコ、セントラルファイナンス、ラ、イフ、ジャックスなど、日本信販、アプラス、ジャックスなど

CAFIS、BANCS(TOCS+SICS)、SOCS、ACS(含SCS)、しんさんネット、NCS(96年6月末に解散)、NICE・CDネットワーク、CDジョイントサービスネットワーク

電気機器メーカー

CATなどの信用照会端末、POS端末、CD・ATMなどの主なメーカーは次のとおり。

関連機器の主要電気機器メーカー

信用照会端末 アンリツ、NTTデータ、オムロン、東芝、ハイパーカム、日立
製作所、ベリフォン、松下電器産業、メモレックス、テレックス、
ライトウェルなど
POS端末
CD/ATM
日本電気、オムロン、富士通、日本アイ・ビー・エムなど
半導体 日本電気、東芝、日立製作所、富士通、三菱電機など
電子商取引
システム関係
NTT、富士通、日本電気、日立製作所、大日本印刷、VISA、MasterCardなど

カード提携企業

第3章でご紹介します。

カード印刷業者

カード印刷業者は、いずれも国際ブランドカードによって公認された企業であり、国際的に統一されたカード仕様に従い、ホログラムなどの一元供給を受けています。国際ブランドカードは定期的に、セキュリティ上の観点から立入検査を行っています。

主な業者は、共同印刷、昌栄印刷、大日本印刷、東洋紙業、凸版印刷、日本データカードジャパンなどです。

個人信用情報機関

全国銀行個人信用情報センター(全銀協が設置)、全国信用情報センター連合会(全情連)、(株)セントラル・コミュニケーション・ビューロー(CCB)、輸シー・アイ・シー(CIC)の4機関がある。

損害保険会社

損害保険会社ではクレジットカードを発行してはいませんが、盗難・紛失保険・旅行傷害保険などにおいて、クレジットカード業界と深い関わりを持っています。

業界大手5社は東京海上火災、安田火災海上、三井海上火災、住友海上火災、日本火災海上。

業務の外部受託業者

アメリカのカード業界ではアウトソーシング(業務の外部委託)が進んでおり、カードの代行発行、加盟店管理、債権回収、データ処理、個人信用審査などの業務を全国規模のサードパーティーにアウトソーシングしています。

日本ではこの外部委託方式は、カード発行、システムサービスなどの分野でしばしば見受けられますが、どちらかといえば、後発小規模のカード会社がすべての業務を自社内で行うことができず(または費用対効果を考慮して)、大手のカード会社に依存するようなケースが多いようです。

大手のカード会社は、自社内でほぼすべての業務を執り行っていました。しかし、93年にMasterCardに加盟したA社では、ごく少数の得意分野を自社内に残し、それ以外は一切外部委託する形をとりました。

当時、同社の始動をお手伝いした私にとって記憶に残るケースでした。その後、このアウトソーシングはクレジットカード業界において、カードの代行発行、加盟店開拓、ATM管理、システムサービスなどに加え、サービサー法施行に伴う債権管理・回収などの新しい分野に浸透し始め、近い将来はカード会社の大きな収入源となると見込まれます。

サービサー法施行後、直ちに法務大臣から営業許可を受けたのが、オリコの子会社や日本債権回収船等4社、その後2年半の間に71社が営業を始めました。

広告業者

最大手は電通。カード券面上のロゴのデザインを担当するデザイナーやイラストレーターなども含みます。

クレジットカード業務の監視役

監督官庁など

  • 金融庁監督部銀行監督課金融会社室
  • 経済産業省産業政策局商政課取引信用室
  • 内閣府国民生活局消費者行政第一課
  • 総務省貯金局経営企画課
  • 総務省貯金局業務課
  • 総務省電気通信局電気通信事業部データ通信課
  • 総務省電気通信審議会
  • 公正取引委員会経済取引局取引部消費者取引課
  • 国民生活センターおよび各地の消費者センター
  • 流通システム開発センター(流通情報化の基盤整備を行っている財団)
  • 工業標準化法のJIS関連機関(日本工業標準調査会など)
  • 情報処理振興事業協会(経済産業省の外郭団体、IPA、コンピュータウイルス)

インターネット管理体制

ISOC(Internet Society)は、インターネット上で用いられるアドレスの管理や技術の標準化などの業務を行っている。ISOCの下部組織として、日本のインターネットを管理しているJPNIC(Japan Network lnformatiOn Center)がある。

  • ISOC…全世界のアドレス管理、技術標準化、運用ルールの制定など
    • IANA…全世界のIPアドレス・ドメイン名の管理など
    • JPNIC…日本のインターネットを管理
  • 経済産業省:コンピュータ緊急対応センター(JPCERT)
  • 経済産業省:電気通信サービスにおける情報ルールに関する研究会
  • 警察庁ハイテク犯罪サイバーパリス
  • 総務省電気通信政策局
  • 日本インターネット決済推進協議会
  • NTT、CATV各社
  • インターネット・プロバイダー

同じくISOCの下部組織として、IANA(Internet Assigned Number Authority)があり、全世界のIPアドレスやドメインの管理を行っている。

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