クレジットカードの虚偽申請は未だに無くなりません!

クレジットカードの虚偽申請

入会審査セクションは、新規会員獲得という至上命令、不良会員の後始末に手を焼く債権回収部門やセキュリティ部門からの叱責、入会を断られた申請者からの突き上げなどの狭間で苦労は尽きません。加えて、あの手この手の悪知恵を絞って入会を申し込んでくる虚偽申請も絶えることなく発生しているのです。

このような手合いに対しては、最近ではコンピュータを駆使したスコアリングシステムが登場し、ある程度は威力を発揮していますが、最後に頼りになるのは、ベテラン社員の「第六感?」といえなくもないのが実情です。

クレジットカードの虚偽申請の実情

ちょっと古い話になりますが、巣鴨署は1996年末、虚偽申請により不正に入手したクレジットカードを使って、100万円のキャッシングを行うとともに、約200万円のショッピングをした男を逮捕しました。

自宅近くに借りた1室に他人名義の電話を引き、10通りの偽名を使い分け、合計30枚のカードを入手していたのです!

クレジットカードの申し込みは、流通系カードの場合を別として、郵便(または最近ではインターネット)でのやりとりが原則となります。したがって、消費者金融業会社の場合と異なり、本人とfase to faceで相対し、その人柄などを見る大切なプロセスが欠けることとなります。犯罪者はこの盲点を巧みに突いてくるのです。

カード入会申込書の記入事項は、氏名、生年月日、婚否、性別、住所、居住年数、電話番号、職業、勤務先、収入、現時点の借入総額、決済口座など最高30種類に上ります。このうち、虚偽記入は、氏名、住所、電話番号、職業、現在の借入総額の順に多いといわれています。犯罪者は、自分の嘘を誤魔化すために、次のような手段を講じてきます。

電話制度の悪用

他人名義、電話二重サービス、留守番電話サービス、転送電話サービス、携帯電話の悪用など。

郵便制度の悪用

転居届制度や私設私書箱サービスの利用。

勤務先のごまかし

架空の会社を作り上げる。実在の大手企業の社員になりすます。健康保険証を不正に入手する、など。

このような虚偽申請に対抗するため、カード会社はさまざまな対応策を講じているのですが、その内容は企業秘密だとして詳しいことは教えてもらえません。

最近では、スコアリングシステムを活用する先が増えています。審査の結果の拒否率は平均して30%前後といわれています。申請内容が正しかったかどうかは、カードを発行してみないとわかりません。カード会社の宿命といえるでしょう。ただし、カード会社も手を供いているわけではありません。

初動的対応策

以下は、私がいろいろな筋から聞き得た話をもとに組み立てた、カード会社の初動的および抜本的な対応策です。

  1. 個人信用情報のチェック
  2. 本人確認および本人の意思確認(本人が知らないうちに家族が勝手に申し込むケースに備える)
  3. 電話番号の登録チェック(実際に電話するのはもちろん、新旧の電話帳を使い、架設時と利用年数を確認)
  4. 住所の確認(実際に訪間する)
  5. 勤務先の確認(社員のなりすましを警戒)

これらが全て強力に働くことでクレジットカードの審査は非常に厳しくなりますが、セキュリティー対策としては強度が上がるのではないでしょうか。

抜本的対応策

現在、日本には、カード会社の属する業態ごとに個人信用情報機関が存在しており、それぞれの間でもある種の情報の相互交流が図られています。

CRIN(credit information netwerk、全銀協、(株)シーアイシーおよび全情連の3者協議会が構築した、業際を超えた事故情報交流システム)、テラネット(全情連が設立した佛テラネット。他の業態に属するクレジットカード会社にも、個人信用情報を開放するシステムを運営)等がその好例です。

できるだけ早く、情報交流範囲の拡大ならびに情報精度の向上が実現されるべきです。ただし、個人情報の保護が重要なことは今さらいうまでもないところです。この点については数年来、立法化の動きがありますが、野党の抵抗により個人情報保護法案の通過は難しく、政府は、2002年秋の臨時国会での成立を再び断念し、2003年の通常国会で修正案を成立させたいとしていました。

当然ながら、個人信用情報の交流制度が整備されたからといって、虚偽申請が根絶できるわけではありません。カード利用履歴が健全な会員の名前を編って申し込めば、防止手段はきわめて限られてくるからです。実際にアメリカでは会員番号丸ごと乗っ取り(account takenover)という手口が跳梁しています。

とはいえ、個人信用情報の交流システムの確立は、虚偽申請の防止のみならず、消費者信用産業の一層健全な発展に資する必要不可欠な課題であることは言うまでもないでしょう。

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