クレジットカードの付帯保険の種類や支払などについて

クレジットカードと保険

クレジットカードに付帯する保険って、意外に多くの種類が存在しているのをご存知の方は多いかと思います。ですが、どんな場合に支払われないかというのは意外と知らないもの。

今回はクレジットカードと保険について探ってみましょう。

クレジットカード関連の保険の種類

日本のクレジットカードにかかわる保険商品は現在、カードそのものに直接かかわる保険として、

  • 盗難(紛失)保険
  • 偽造(変造)保険

の2種類があり、一方、間接的にかかわる保険としては、生命保険、傷害保険、国内外旅行関連、国内外ショッピング関連、旅行携帯品関連等、数種類の保険があります(これらの間接的商品は、何もカードに限ったものではないので、本項では説明は省略する)。

保険の当事者は、損害(生命)保険会社、保険契約者および被保険者(受益者、ベネフィシアリ)の3者であり、これを盗難・偽造両保険に当てはめると、カード会社が保険契約者、ベネフィシアリがカード会員となることについては、読者ご存知のとおりです。保険料は、原則として、会員が負担します。例外的に、カード会社が負担する場合もあります。

盗難・偽造保険の対象となるカード

盗難(紛失)保険

原則として、クレジットカードが対象となります。ただ、クレジットカード会社の中には(たとえば、某流通大手)、独自の判断で自社のカードに保険を掛けないところもあります。

偽造(変造)保険

2000年5月、総務省(当時)は、郵貯キャッシュカードに偽造保険を付保しました。これにならって、一部の銀行、クレジットカード会社の中にも、偽造保険をかける動きがみられるが、まだ少数派の域を脱していません。

偽造保険の世界では、現在一般的にいって、保険料収入>保険金支出の関係にあるので(保険料率が高く、保険金は査定が厳しくてなかなか払ってもらえない)、保険会社にとっては、これは魅力ある商品となります。したがつて、条件を緩和するなどにより、拡販に努めているのが現状ですので、将来は対象範囲が広がっていくと展望されます。

郵貯キャッシュカードに対する偽造保険は、100万円を限度とし、カード会員が総務省の外郭団体、「ゆうちょくらぶ」の会員であることを条件として適用されます。カード利用者側の重大な故意・過失がある場合、警察への届け出でがなされていない場合、一定期間以前の不正行為は除く、などの制限があることは、保険の性質上当然のことです(ゆうちょくらぶ資料による)。

このほか、キャッシュカード等に付保されている主な保険を拾うと次のとおりとなります。

  1. 富士銀行。一部の預金者を対象とします。保険料は預金者負担。上限は300万円(日経99・10・31)
  2. 大和銀行。内容はおおむね同じ。ただし、保険料は銀行負担(読売2000・3・4)
  3. あさひ銀行。同上(日経2000・3・5)
  4. インターネット関連保険
    • 富士銀行と安田火災海上は、ネット上の一定の不正行為による被害を補償(日経200004・30)
    • 東京海上火災保険は2000年6月から、ネット関連事故を総合的に補償(日経2000・5・22)

国際ブランドの偽造保険

なお、すでに打ち切られたものですが、参考までに、かってVISAとMasterCardが運営していた偽造保険制度について一言述べておきましょう。

この保険により、日本のカード会社は一時大いにその恩恵を享受した時期がありました。国際ブランドカードが保険契約者、ベネフィシアリはクレジットカード会社。保険会社はロンドンのロイズ保険でした。しかし、ロイズが北海油田火災、大型タンカー海難事故、湾岸戦争などにより赤字に陥り、同制度は90年代初めに打ち切られました。

筆者も、保険の査定の場における国際ブランドカードと日本のカード会社との間の激しい攻防に何度も立ち会つたが、その厳しさと、カード会社担当者の熱意は、今でも深く記憶に残っています。

カード盗難・紛失保険

生い立ち

この保険は、1969年に初めて業界に導入され、72年に売り出されました。発足当時の保険約款は20カ条でした。その後、担保期間が41日から121日間(クレジットカード会社が紛失・盗難届を受理した日の前後60日間)に延長されました。

また、保険金支払額の上限も100万円から500万円に引き上げられるなど改定が加えられました。

さらに、95年4月、財務省指導のもとに、次のように全面的に改定されて現在に至っています。

  1. 全体の構成を火災保険約款にならった
  2. 定義の明確化を図った
    • 保険金として支払う損害額の範囲(利息、手数料を除く)
    • 通知義務の内容
  3. CD/ATM取引の取り扱いなど
    • 新たな概念を追加した
    • 法定代理人による法令違反
    • 別居の未婚子、使用人
    • CDを利用して強奪が行われた場合の免責条項
    • 暴動、津波、核燃料事故にかかわる場合の取り扱い
    • 保険金支払額の算定方式

保険の内容

盗難保険は、包括保険、強制保険で、一般の信用保険の範疇に属さない独立した保険です。保険目的は、付保対象となるクレジットカードの窃盗、詐欺、横領、紛失の際に、担保期間中に発生したカード会員またはカード会社の損害を補償することです。ただし、恐喝されてカードを渡した場合、偽造カードが使用された場合を除く、とされています。

保険契約者はクレジットカード会社、ベネフィシアリはカード会員とするが、カード会社の場合もあります。保険期間は原則として1年間、保険料負担者は原則としてカード会員ですが、カード会社の場合もあります。保険料については、約款には明示されていないが、参考までにその改定方法を紹介しておく。いずれを取るかは保険会社が任意に決めることができます。

ロスレーシオ方式

当期の保険金支払額を、当期の保険料受取額で割った値が小さいほど、保険料率が高いことを意味します。次期の保険料率引き下げの目安となります。

FD方式

事故の発生頻度(F)と平均損害額(D)との関係から次期の保険料率を決定します。

Resulting Ratio(実績率)方式

事故実績により、期末までに既に受け取った保険料の金額を見直し、必要と認めれば、その一部を払い戻します。保険会社は、一定の条件の下、保険金の支払いを拒否することができます。この条件について保険約款とカード会員規約とを比べると、表70のとおりとなります。

保険金を支払わない場合を定めた保険約款と会員規約との比較
保険約款 カード会員規約
カード会社、カード会員の故意、重大な過失、法令違反があるとき 会員の故意、重大な過失があるとき
会員の同居の親族などによる盗難 会員の家族、同居人の盗難
保険期間開始前 損害の発生が保険期間外のとき
保険金請求手続違反 会員の損害補填請求手続違反
会員の盗難紛失届義務違反 紛失盗難被害届が虚偽のとき
カード会員規約違反 カード会員規約違反会員規約違反に起因する損害
戦争、暴動、大規模自然災害などに起因する混乱時の盗難など 戦争、地震などによる著しい秩序の混乱に乗じて発生した盗難など
カード郵送途中の盗難 損害の発生が保険期間外の場合
保険料領収前の盗難
CD設置場所における喝取 カード利用時に暗証番号が使用されたとき
  • キャッシング限度額未照会の引き出し
  • CD機能不正常時における引出し
  • カードを他人に譲渡、貸与したとき
  • カード有効期限切れ後の使用
  • 未署名カードを使用
  • 告知義務違反
  • 通知義務違反
  • 盗難紛失カード発見回収努力義務違反
  • 被害拡大防止義務違反

保険会社は、クレジットカード会社からの保険金給付申請をどの程度認めるのであろうか。一般的にいって、承認率は70%前後といわれています。保険会社による申請内容の査定は、きわめて厳しいと伝えられています。

保険金支払額の推移

クレジットカード会社、損害保険協会とも、盗難保険金支払額については、きわめて回が固く、その全容は把握できません。やや古い話になりますが、(財)全国防犯協会連合会クレジットカードセキュリティ研究委員会が発表した数字があります。これによると、損保大手15社のカード盗難保険金支払額は、89年度33億円、91年度79億円、93年度128億円でした。94年度以降は未公表です。

最近、東大手クレジットカード会社の担当者が、盗難カード被害額、保険金給付申請承認率、同足切り額等から推定した数字があります。これによると、ここ数年の保険金支払額は、130~150億円のレンジで推移しているようです。

保険金支払請求手続の具体例

前述したとおり、保険契約者はクレジットカード会社ですので、保険金の支払請求手続は、クレジットカード会社が前面に立ち、保険会社とやり取りする建前となっています。その間の流れの具体例を示すと次のとおりとなります。

まず、クレジットカード会社は会員に対する支払請求を停止します。次いで、同社は、一定の書面を会員に交付して、必要事項の書き込みを求め、これを自社あてに(書面上は、あて先は自社と損害保険会社との連名になっている)提出してもらい、これを保険会社へ提出するわけです。保険会社による査定を経て、保険金はクレジットカード会社の回座に振り込まれるか、あるいは支払いを拒否されます。これで一件落着というわけです。

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