銀行ATMやCDでできるクレジットカードのキャッシングとは?

キャッシング

キャッシングとは、クレジットカード会社、消費者金融会社、銀行などが消費者に対し提供する無担保、短期、小日の融資をいいます。このほか、預金者が自分の回座から預金を引き出す行為を指すこともありますが、今回は前者について考えてみましょう。

キヤツシングとは?

2000年末の消費者金融残高に占めるクレジットカード・キャッシング、カードローン、消費者金融会社融資の合計の割合は、下表40のとおり、29.7%となっている(クンジット産業協会「日本の消費者信用統計」)。

2000年末現在、消費者金融残高の内訳

クレジットカード・キャッシング 28,104(億円)
その他ローン(ローンカードなど) 29,936
消費者金融会社貸付 88,489
民間金融機関貸付 210,091
担保融資(預金担保など) 135,988
合計 492,608

クレジットカード・キャッシング、その他ローン、消費者金融会社貸付のみで全体の約29.7%を占めます。

キャッシングサービスには、

  • 店頭マニュアル取引(キャッシングノートを含む)
  • CD/ATM利用
  • 郵便・電話での申込みによる口座振込み

があります。返済方法は、翌月一括払い、リボ払い、ボーナス併用払い、その他(利用者指定日払い、5日あるいは7日の超短期払いなど)があり、返済金の充当順は割賦販売法30条の5に準拠しています。

なお、みなし弁済については、ATMから交付される書面が所定の要件を満たさない場合には、みなし弁済は成立しないとの判決があります(名古屋高裁96・10・23)。

キャッシングの歴史

庶民金融(現在のキャッシング)の元祖として、質屋が初めて登場したのは鎌倉時代にさかのぼります。当時、質屋は庫倉(クラ)、高利貸しは貸上(カシアゲ)と呼ばれていました。室町時代には、酒屋が庶民金融の担い手として活躍していました。

質屋の名称が定着したのは江戸時代です。同時に座頭金、鳥金(カラスカネ)、日済貸(ヒナシカシ)、百一文、大尽金、札差(フダサシ)などと呼ばれる金融業者が活躍していました。なかには悪質な高利貸しもいましたが、その取締りは非常に厳しかったといいいます。

一六銀行と呼ばれるようになったのはいつ頃からでしょう。1927年に公益質屋法が施行され、30年には日本昼夜銀行(後に富士銀行が吸収)が「勤め人信用貸し」の名前でサラリーマン金融を始めました。池田内閣の所得倍増計画並びに公団住宅建設計画に伴い、60年にアコムと三洋信販が「サラリーマン金融」を開始し、銀行系クレジット会社やその他の消費者金融会社による参入の道を拓きました。70年代に入ると、信販系、流通系クレジットカード会社並びにAVCO FINANCIAL SERVICESなども進出、78年には大蔵省の指導のもと、「応急ローン」の名前で、都市銀行も消費者金融の一翼を担うに至りました。

しかし、その普及とともに消費者金融による社会問題が表面化し、83年にはいわゆる「サラ金地獄」に対処して、貸金業規制法が施行されるに至りました。

キャッシングの起源ともいわれる質屋は、時代の流れとともに、一部は消費者金融会社となり、一部は若い女性をターゲットとする質流れバーゲン市場となりました。このうち公益質屋は、公益質屋法の廃止とともに姿を消しました(2001年6月7日)。

キヤツシングの現状

最高裁の調べによると、個人破産申立件数は、2000年中が139,280件、2001年中が160,457件、2002年1~10月間で173,289件と、高い伸びを示しています(読売03・1・18)。

また、国民生活センターによると、消費者センターに寄せられた多重債務に関する相談件数は、2001年中で31,580件(前年比+39%)と、過去最高を記録しました。多重債務発生の原因は、

  • 借り手の借金感覚の歪み
  • 不況時の生活苦
  • ATMの急展開に象徴される貸し手側の積極的な貸し込み姿勢
  • 高金利

この4つが挙げられるでしょう。現在、国際ブランドのクレジットカードを1枚持っていれば国の内外で、数十万台のATMを利用できます。まさにキャッシング天国です(ただし、借金であることをお忘れなく)。

現在の金利水準は、表41のとおり、高水準となっています。

現在の消費者金融金利水準(2002年7月末)

キャッシング
1回払い
キャッシング
リボ払い
カードローン
リボ払い
銀行系7社 28.0% 17.37%
信販系6社 26.2% 26.44% 25.38%
流通系4社 26.45% 26.45%
消費者金融11社 28.19% 28.19%

参考:(月刊消費者信用2002年9月号126頁による)

1999年4月にノンバンク社債法が成立した際、国会付帯決議は高金利の早期引下げを要請しました。その後、商工ローン問題に対応し、同年12月に、貸金業規制法の改正法が成立、2000年6月から実施されました。その骨子は、

  • 出資法罰則金利の引下げ(40.004%から29.2%へ引下げ)
  • 取立行為の規制強化
  • 罰則の強化

などです。この法改正が貸金業界に与えた影響は大きかったと言われています。

日本人の金銭感覚

日本人の金銭感覚を、現金選好、借金感覚の両面から考えてみましょう。

現金選好(cash propensity)

日本人は、金、現金ともより好みする傾向が高い国民といわれています。平たく言えば、純金のブンブク茶釜も、現ナマも大好きというわけです。

成熟したカード社会に住むアメリカ人は、交通費とチップ用の小銭は別として、まとまった現金はあまりも持ち歩かないようです(暗黒社会では話は別だが)。これに対し、日本人は財布にウン万円入っていないと安心できない。

両者の特徴は次の表42並びに表76でまとめました。

クレジットカード取扱高に占めるキャッシング比率とATM l回当たりの引き出し額(日米比較)

日本 アメリカ
キャッシング比率 引出額 キャッシング比率 引出額
銀行5グループ 19.7% 4万円前後 20% 180ドル前後
信販5社 33.7% 8万円前後 20% 180ドル前後
流通4社 22.2% 8万円前後 20% 180ドル前後
主要24社 27.3%

資料:月刊消費者信用2001年9月号、「The Nilson Report」1999年4月号、並びに主要各社か
らのヒヤリングによる。

借金感覚

日本では、とくに高年齢層を中心として勤倹貯蓄を旨とし、借金はなるべく避けたいとの感覚を強く持っています。この気風は、池田内閣の所得倍増計画による生活水準の向上を機に変化し始め、近年は若年層を中心に借金を前向きに捉える、あるいは借金を苦にしない考え方が広がっていきました。

かかる消費者の心理状態の変化に応じて、貸し手側も60~70年代にかけて、積極的な貸し込み政策に力を注ぎ出したことは前述のとおりです。

今後の動向

キャッシング比率は今後伸びるのか?私が現役時代、来日するアメリカのカード業界のお偉方は、必ずといってよいほど日本人のカード利用率を質問し、3~4%との答えに失望するタイプと、まだまだ開拓の余地ありと勇み立つタイプの2通りがみられました。この好戦派の理屈付けは、

  • 日本人は現金選好が強い
  • カードキャッシングはこの選好を支える手段として大いに役立っている
  • キャッシングが伸びればカード全体の利用率も上がる

と、いうものでした。このリーズニングがはたして妥当なものかどうか、もう少し時間をかけてじっくりと観察していかなければならないでしょう。

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