クレジットカード犯罪統計、不正使用被害額調と査被害人数

クレジットカード犯罪続計

このページでは、クレジットカード犯罪にかかわる統計に目を向けてみましょう。日本国内カード業界の業績統計は立派に整っていますが、こと犯罪統計となると、時系列を追って完備されたもの、あるいは詳しい内容を示すものは少なく、あっても断片的で、「統計不在」の声も一部に囁かれているのが現実です。

一般的に言って、どの業界でも自らの恥部を公表するのを嫌がるのは当然のことです。ですが、隠薇体質が度を過ぎると、犯罪対策上、支障をきたすこともあるのではないでしょうか。

余談になりますが、私は現役時代、親しくしていた取締当局の幹部から、「第一線刑事はクレジットカード犯罪にはあまり熱意を示していませんでした。苦労して犯人(外国人の場合が多い)を逮捕しても、黙秘、言葉の壁、短い期間内でのカードの不法性立証の難しさ(海外カード会社との連絡が必要)などの障害があるからです。

クレジットカード会社は中身をあまり喋りたがりません。「自分のことなのだから、もっと積極的に協力して欲しい」という辛回の批判をいただいたこともありました。このようなことは、今では払拭されていると信じていますが、参考までに言及しておきます。

本論に戻りましょう。以下、6つのクレジットカード犯罪関連の統計を示し、それぞれの作成要領や問題点などを探ってみました。

世界規模のクレジツトカード不正使用による被害額

次の資料は、VISA、MasterCard等国際ブランドカード各社の年報、セキュリティ内部資料、THE NILSON REPORTなどで、売上高は、VISAおよびMasterCardのショッピングとキャッシングの合計を示しています。

(※ 印は一部推定の数値であることを示す)

世界規模のクレジットカード不正使用による被害額(図)

歴年 カード取扱高(億ドル) 被害額(百万ドル)
1992年 7,049 1,121
1993年 8,386 1,119
1994年 10,186 1,131
1995年 12.556 1,285
1996年 15,310 1,350
1997年 16,020 1,470
1998年 20,502 1,486
1999年 23,270 1,928
2000年 27,570 2,641
2001年 31,268 2,489(注)

(注)2001年被害額の内訳

紛失 308.5
盗難 551.5
カード未着 99.4
不正申し込み 102.1
偽造 772.8
番号乗っ取り 576.6
その他 77.8
合計 2,488.7

これらのデータから解かることは、

  1. 年報に当方の欲しい数字があるかないか(年によって掲載内容が異なる)
  2. 部外者はセキュリティ内部資料にアプローチできない
  3. THE NILSON REPORTの内容は隔靴掻痒の感を免れない

などの問題点が挙げられます。

日本国内におけるクレジットカード不正使用による被害額

次の資料は、全国防犯協会連合会の報告書、日本クレジット産業協会の統計、警察白書、ジュリスト、全国紙等によるものです。この数字を集めるには、常に眼を光らせ、細心の注意力と忍耐強さを必要とします。極めて大事な数字が新聞や専門雑誌の片隅にひっそりと掲載されていることが多く、油断がなりません。

全国防犯協会連合会のクレジットカードセキュリティ研究委員会の報告書は、微細にわたり、内容分析も詳細で高く評価されますが、単発に終わって継続性がないことは残念です。これを補うものとして最近、日本クレジット産業協会の数字が出てきましたが、それは1997年からのもので、それ以前の計数がないのは無念としか言いようがありません。

日本国内におけるクレジットカード不正使用による被害額(図)

(単位:億円)

年暦 被害額(うち偽造カード分) 警察当局の
認知被害額
1991年 n.a. n.a. 6.2
1992年 171 n.a. 8.3
1993年 n.a. n.a. 5.1
1994年 n.a. n.a. 4.2
1995年 187 n.a. 7.7
1996年 197 n.a. 2.6
1997年 188 12 4.5
1998年 216 28 9.1
1999年 272 91 2.8
2000年 309 140 5.9
2001年 276 147 不詳(注)

1年が不詳としているのは、白書の編集内容変更のため。

警察白書の数字は、被害届に基づく数字であるので、例えば、日本クレジット産業協会の数字との乖離が大き過ぎて実感がありません。新聞はよく、日本クレジット産業協会の計数ですら、氷山の一角と評しているほどです。

このような問題点はあるものの、最近ようやく犯罪統計が発表されるようになってきたことは、一歩前進というべきでしょう。

クレジットカード不正使用による被害発生率

先の表から算出しました。ベーシス・ポイントは1%の100分の1のこと。世界規模の数字は、国際ブランド5社の計数によるべきではあるのですが、資料が手に入らないのでVISAとMasterCardの数字で代用しました。

THE NILSON REPORTによれば、両者の全体のカバー率は約90%程度です。日本の発生率は98年ごろから急増しており、2017年になっても、今後とも注意が必要です。

クレジットカード不正使用による被害発生率(図)

世界ベース 日本 世界 日本
カード取扱高A(億ドル) 不正行為被害額B(百万ドル) カード取扱高C(億円) 不正行為被害額D(億円) B✕10,000/A D✕10,000/C
ベーシスポイント
1992年 7,049 1,121 182,384 171 15.90 9.37
1993年 8,386 1,119 182,469 n.a. 13.34 n.a.
1994年 10,186 1,131 187,751 n.a. 11.10 n.a.
1995年 12,556 1,285 202,485 187 10.23 9.23
1996年 15,310 1,350 227,153 197 8.82 8.67
1997年 16,020 1,470 244,962 188 9.17 7.67
1998年 20,502 1,486 241,948 216 7.25 8,93
1999年 23,270 1,928 253,086 272 8.28 10.75
2000年 27,570 2,641 276,360 309 9.58 11.18
2001年 31,268 2,489 293,653 276 7.96 9.4

※ 推定

クレジツトカード紛失・盗難保険の保険金支払額

次の表は、全国防犯協会連合会の報告書とセキュリティ損害保険統計(平成
13年版)から作成しましたが、ほとんど統計の形をなしていません。

参考までにカード不正使用被害額に占める紛失/盗難カードによる被害額の過去の割合、保険金補填率、足切り額の推移などから推定し、算出する方法があると教えていただいた某大手カード会社の友人からの情報になります。

また、日本損害保険協会は、数字については一切ノーコメントの姿勢を貫いています。

クレジットカード紛失・盗難保険保険金支払額(図)

(単位:億円)

年暦 保険金支払額
1989 33
1990 57
1991 79
1992 112
1993 128
以降不明
2000 140

※ 推定。

カード犯罪/検挙件数

次の資料は、警察白書から抜粋したものです。検挙件数が認知件数を上回る場合が散見されますが、これは認知件数が当該年間の届け出による件数を示すのに対し、検挙件数は、当該年の検挙件数に前年の検挙件数のうち同年中に掲載されなかった件数を上乗せした結果です。

認知件数のもととなる届け出件数が実数を大きく下回ることが多くなります。その理由は、加盟店がアクワイアラーから被害を補填してもらい、届出を行わない場合が多いからだと聞いています。

カード犯罪検挙件数(図)

1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001
キャッシュカード 認知 1,303 1,314 1,291 1,514 1,408 1,926 1,201 2,018 2,997
検挙 1,177 923 877 948 845 1,240 869 1.336 1.375
クレジットカード 認知 9,596 7,056 7,173 4,951 4,282 8,594 4.344 3,212 3,622
検挙 12,205 7,216 6,998 5,061 4,070 8,860 4,208 2,962 2,833
消費者金融カード 認知 146 215 276 206 706 1,194 629 761 351
検挙 157 129 247 195 671 1,268 539 734 306
合計 認知 11,045 8,585 8,740 6,671 6,396 ll,714 6,174 5,991 6,970 5,527
検挙 11,539 8,268 8,122 6,204 5,586 11,368 5,616 5,032 4,514 4,080

(注)✕ 印計数不詳。白書の編集内容変更のため。

クレジットカード会社の貸し倒れ償却額

「月刊消費者信用」毎年9月号の「クレジット産業白書」が貴重な資料となります。ただし、銀行系カード6社の計数は1996年3期以降、また信販系カード6社の計数も1999年3期以降、発表されなくなり、統計の形をなさなくなってしまいました。

クレジットカード会社の貸し倒れ償却額(図)

(単位:億円)

1995/
3月期
96/3 97/3 98/3 99/3 99/3 2000/3 01/3 02/3
銀行系
6社グループ
319 n.a. n.a. n.a. n.a. n.a. n.a. n.a.
信販系
大手6社
1,897 2,411 2,713 2,445 n.a. n.a. n.a. n.a.
流通系
大手4社
184 98 193 448 563 1,524 835 774
消費者金融
大手5社
660 807 911 1,133 1,276 1,478 1,787 2,555
3,060

某大手銀行系カード会社が発表を取り止めたのを機に、これに各社が右へならえしたためと伝えられていますが、その理由・背景とも不明です。

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