
イシュアーがアクワイアラーに対しクレジットカード売上代金の請求を取り消すよう求める際に代金の決済などに関するトラブルが発生した場合、一体どのように解決するのか?
そうした際に適応されるのがこの「アービトレーション」と「コンプライアンス」です。
アービトレーションとは?
メンバー間の争いがチャージバックでケリがつかない場合、VISA、MasterCardがとる裁定手続を「アービトレーション」といいます。これは、チャージバックに関する問題を解決へ導く一つの方法です。「ケリがつかない」場合とは、例を挙げると次の3つを指します。
- 当事者の一方が相手の主張を不当、無効と考えるとき
- 同じく、証拠が不十分と考えるとき
- 相手側の手続が間違っていると考えるとき
アービトレーションの手続
- 提訴するメンバーは、提訴予定日の少なくとも30日前に、相手側に解決を求める書信(これを善意の書簡=Good Faith Letterという)を送る
- 提訴先は、国際ブランドカード(VISA、MasterCard)の特別委員会または事務局長
- 提訴ができる期間は、最後のチャージバック(またはプレゼントメント)を受けた日から75日または90日間以内とされている
- 添付書類は、争いの要点を示す文書、チャージバックの関連書類一切および善意の書簡写し
決定と不服申立て
国際ブランドカード(VISA、MasterCard)は、決定の内容を文書で通知します。これを不服とするメンバーには、さらに上訴(アピール)の道が開かれていますが、これを行った前例はほとんどないようです。
コンプライアンスとは?
メンバーAが国際ブランドカード(VISA、MasterCard)のルールに違反した場合、メンバーBが金銭的損失を被った(あるいは被るおそれがある)として、両者間で争いが発生してしまいいましたが、これをチャージバック制度で解決できない場合、Bがこの案件を(VISA、MasterCard等の)国際ブランドカードヘ訴え出て解決を求める手続をいいます。
(コンプライアンスは「ルールヘの同意」を意味しています)
コンプライアンスを行える条件
「チャージバックで解決できないケース」を、次にいくつか示しておきましょう。
検索請求関係
一定期間を徒過して行われた検索請求は、回答義務が免除されます(チャージバックの理由にならない)が、徒過した事由がもっともであると考えられる場合にのみ有効です。
事務処理エラー関係
アクワイアラーが、間違ったデータを送ってきた結果、チャージバックができなくなった場合。たとえば、アクフイアラーが信用照会関連上の加盟店業種(MCC=Merchant Category Code)を「T&E」(旅行。娯楽)とし、取引タイプ(Tcc=TransactiOn Category Code)を「現金引出し」としてきた場合など。
カード不正行為関係
偽造カード、紛失盗難カード絡みの取引、あるいは加盟店側に明らかな事務取扱い上のミスがあったと認められる場合。